第23話 会議
「さて、それじゃあゴドフリー君を裏切った人達に対してする事について少し詰めていきましょうか」
椅子に座ったままで私は口を開いた。ゴドフリー君や神庭の事について話をした後、向こうでの私の様子などについて聞きたいとお母さん達が言った事でティアさんはまだ家におり、その話の中で私はお母さん達にも意見を聞きたいと思ってこの話を切り出したのだった。
話を切り出した瞬間、お母さん達はあまり良い顔をしなかったけれど、それでも私に必要な事なのだと思ってくれたのか静かに頷いた。
「ゴドフリー君を裏切った人達に対して、ねぇ……と言っても私達はあまり力になれないわよ?」
「当然そういう経験はないからな」
「ううん、大丈夫。私だってもちろんないし、今はこういう事をしたいっていうのを話すだけだから」
「その考えを実際に行動に起こしても良いとは思いますが、それは勇美さんにお任せしますよ。それで、何か思い付きましたか?」
「そうですね……まず、第一の前提条件として被害を受けるのは王族とゴドフリー君の仲間だった人達が主で、王国の人達は少し困る程度にしたいなというところです。なので、極力
「被害が明らかに大きくなるからな。というか、まずそれは可能なのか?」
お父さんが不思議そうに聞いてくるのに対して私は頷きながら答える。
「うん。日本神話の神様達の中にも当然水の神様や農耕の神様、他にも食べ物の神様もいらっしゃるし、エリクシオンの神様達もその王族達の態度には怒ってるようだから、ティアさんからお願いしてもらえば簡単に出来るはずだよ。
後は軍神や戦神の皆さんにお願いをして純粋に攻め落としてもらうとか創世自体に関わった神様達に頼れるなら頼るみたいなみたいな事とかもたぶん出来るはず」
「そ、そうか……」
「改めて考えると、神様達の力って本当に圧倒的よね。キリスト教の言葉で神の
「私だって悪用する気はないけどね。それで、とりあえず第一段階として王族と城の何人かには体調を崩してもらおうと思っていて、その噂が広まってきた段階で申し訳ないけど王国民の人達にもそれの軽度な物に罹ってもらいます。
そうする事で王族達が自分達に移したんだという噂が広まって、王族への反感が高まるはずだから、そのタイミングである噂を流します」
「ある噂?」
お母さんが首を傾げる中、私は頷いてから答える。
「うん。王族達が偽の勇者を立てるためにこれまで多くの功労があるはずの本物の勇者を追い出した事で神々がお怒りになったんだっていう噂をね。
事実ではあるし、それがあれば高まっていた反感が爆発して王族並びに元勇者パーティのメンバー達は王国民や自分達が助けてきたはずの人達からも反発を受け、自分達の行いを悔いるところまでは行かなくとも確実に悔しい思いはする。そこまですれば十分だよ」
「ゴドフリー君に対して謝らせるとか王座を退かせるまではしなくても良いって事か」
「そう。そもそもこれはゴドフリー君からお願いされた事じゃないし、別にそこまで望んでない気もするから、とりあえず悔しがらせる程度で良いよ。それ以上の事を望んでもしょうがないし、どうせそんな人達だったら悔やみも謝罪しないんだから」
「たしかにその可能性は高そうね」
「ティアさん、作戦決行はゴドフリー君が里帰りを終えて帰ってくるあたりにします。それまではゴドフリー君に隠しながら今回の作戦にピッタリな神様を私が選ぶので、作戦開始の時にはお願いします」
「はい、わかりました。しかし、本当に良いのですか? 勇美さんの意思は尊重しますが、もう少しやりたい事などはないのですか?」
ティアさんからの問いかけに私は首を横に振る。
「大丈夫です。元々私は部外者ですし、あれもこれもと考えていたらいつかやりすぎてしまいますからこのくらいで大丈夫ですし、やりすぎた結果、王族はまだしも勇者パーティのメンバーの誰かが命を落としたなんて事になったら、流石にゴドフリー君も哀しむと思いますから」
「……わかりました。では、その計画で行きましょう。ただ、もしもこういう事をしたいという変更や追加があれば遠慮なく申してくださいね」
「はい。ティアさん、お互いにこれからも頑張っていきましょうね」
「はい」
ティアさんと笑い合いながら握手を交わしていると、その様子を見ていたお母さん達はクスリと笑った。
「男子三日会わざれば、
「それは楽しみだが、同時に寂しくもなるな。けど、子供の成長は早いってよく聞くし、俺達親はそれを楽しみにしながら見守るのが一番なんだろうな」
「そうね。勇美、貴女の成長をこれからも見守らせてね」
「うん!」
お母さんの言葉に対して私は大きく頷きながら答える。私はたしかに成長出来る。でも、それはお母さん達が見守ってくれているからなんだ。
だから、これからも私はちゃんと成長していこう。期待に応えたいからというだけじゃなく、お母さん達みたいな人になるために。
微笑むお母さん達を見ながら私は心からそう感じた。
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