ナナちゃんと自動販売機
ある冬の寒い朝の事です。
いつもと違うルートでポチの散歩をしていたナナちゃん。
真新しい自販機を発見。
「あら、こんな所に自動販売機。
いったいどんな飲み物が入っているのかしら?」
ナナちゃん機械に近づき物色します。
「ええっと、なになに、つめたいジュースは、オレンジ、グレープ、バナナにピーチ。
コーヒーが無糖に微糖にカフェオーレ。
紅茶はレモンにミルクにストレート。
炭酸飲料はソーダ、コーラ、ジンジャーエール。
なかなかのラインナップだけど、この寒いのにあんましいらないわよネ。
夏場だったら腰に手を当ててグイグイ飲む炭酸ソーダの喉越しシュワシュワ感がたまらんけどねぇ。
テッパンだよねぇ」
風呂上がりのおっさんみたいだねナナちゃん。
「さてさて肝心のあたたかいのは、あ、こっちもコーヒー、紅茶は同んなじなんだね。
あとはぁ、つぶつぶコーンポタージュにミルクココア、ホットレモンにしょうが湯、おお中々の充実ぶり。
ん、んんーんっ!」
ナナちゃんの目が一点に釘付けになります。
「お、お、お、おしるこだあぁーーーーだ!!!」
そうなんですナナちゃん、おぜんざいとみたらし団子と同じくらいにおしるこが大好物。
「これは、ずぅえったい、いっとくしか無いねぇー。
さあてっとぉ」
やおら硬貨を取り出してスリットへ投入すると、パンパン、二礼二拍手一礼。
えーっと、一応突っ込んどくけど、ナナちゃん、ここお宮さんじゃないし、初詣のお賽銭じゃないから。
ナナちゃん、白い歯見せてにっこり笑うと
「はい、ポチッとなぁ」
ガッシャーン。
んん?
取り出し口から出て来たのは、青緑の缶、冷たい炭酸ソーダです。
「えーっ!
なんで、なんでぇー!!
あ、あれ、あれ、おしるこのちょうど真上が炭酸ソーダかあ。
ナナ押し間違えちゃったみたい。てへぺろ」
ナナちゃん、気をとり直して再投入。
パンパン、二礼二拍手一礼。
「はい、ポチッとなぁっと」
ガッショーン!
え、ええーーーーっ!
取り出し口には、再び青緑色の憎い奴。
「なんで、なんでよぉー!
ねえ、ポチィー。
ナナ、確かにおしるこのボタンを押したよねぇー」
「ワン、ワン、ワオン!」
ポチも同意と頷きます。
「あっ!
ポチ、ナナ分かった、分かっちゃったよお。
これはね、きっと自動販売機の業者さんがあべこべに入れ間違えちゃったんだよ、テレコって奴だね。
そうと分かれば三度目の正直」
再々度、硬貨を取り出すナナちゃん。
パンパン、二礼二拍手一礼。
自信に満ちた手で炭酸ソーダのボタンを押します。
「それっ、ポチッとなあ」
ガッチョーーン!!!
やっぱり、そこには青緑の缶が。
「え、え、えーーーっ!
なんでなんでなんでなんでぇー!!!
ナナ、間違いなぁく、炭酸ソーダのボタンを押したよねぇーーーっ!」
うんうんだから、炭酸ソーダが出てるんだよね、ナナちゃん。
「ちっくしょおーっ!
こんな機械、こうしてやるぅー!!!」
ナナちゃんの怒りの鉄槌、北斗神拳炸裂です。
ガチャ、ガチュ、ガッチョーーン。
ガチャ、ガチュ、ガッチョーーン。
強烈なダメージを浴びた自動販売機の取り出し口より、次々と青緑の缶々が飛び出して来ます。
ガチョ、ガチョ、ガリョ、ガロ、ガラガラ、ゲロゲロゲロゲロ、、、。
いつ果てる事とも無く炭酸ソーダ缶が吐き出され、辺り一面ソーダの海。
ナナちゃんとポチもどんぶらこどんぶらこっこと流されて行きます。
ああ、その先は滝!
ナナちゃんとポチの運命は如何に?
、、、もちろん、つづきません。
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