ナナちゃんと壁ドン

「ねえ、ポチ」

愛犬ポチの毛づくろいをしてやりながら、ナナちゃんが語りかけます。

「カベドンって知ってる?」

「くうん?」


「隣の高校生のお姉さんが話してたんだけど、こないだ、カベドンにやられて身体中が熱くなって、心臓がバコバコいって、頭がボーッとして、泣いちゃったんだって」

「くううーん?」


「怖いねぇー。きっとスッゴイ化け物だよ。目がたくさんあって、口がおおきぃーっく裂けてて、尻尾が九本に割れて、炎吹いたりする奴だよね」

「くくくくぅーん???」


いったいどんな怪物だよ、ナナちゃん。


「ナナは、絶対会いたく無いな!」

「ワン、ワン、オン!」

ポチも同意とばかりに尻尾をふります。


今はまだ愛や恋より、変が似合うよナナちゃん。

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