ナナちゃんと花咲か爺さん

『うらのはたけで ポチがなく

しょうじきじいさん ほったれば

大ばん こばんが

ザクザク ザクザク 』


ナナちゃん絵本を閉じると叫びます。

「ポチィ!ポチィーッ!ぷおーっちぃーーっ!

どこ、どこ、どこにいるのぉー?」


「く、くぉん?」

ご主人様の只ならぬ気配に少し怯えながらも、尻尾をパタパタ、ポチがやって来ました。


「ああ、ポチィー。

良い子ねぇー。

さあ、裏の畑に行きましょう」

「くぅん?」


えーっと、ナナちゃんのお家の裏は、確か山だったよね。


「はい小っちゃい事は気にしない、ワカチョコワカチョコぉー!

さ、裏へ行くよぉー!」

「く、く、くぅーん」


有無を言わさず、裏山登り。

当然いつもの竹藪です。


「ああ、この前の光る竹、枯れてるぅーっ!

拾って貰えなかったんだぁ、可哀想ぉー!

ふふふ、悪は滅びる」


ナナちゃん、顔が悪代官と密談中の越後屋になってるよ。


その時、ポチが猛然と吠え立てます。

「ワンワン、バウワウ、ガフガフ、ジャウジャウ」

「ポチ、お前スゴイねえ、いったい何ヶ国語喋れるの?」


「ウーウー、ハフハフ、ウワウワ、ゴンゴン」

「へーっ、フランスではウワウワ、インドネシアはゴンゴンなんだ。

面白いねえ」


いやいや、そういうのもうイイからぁ。


「わんわんわんわん」

「あっ!

ここ掘れって事?

合点承知の助!!」


確かにポチがないてる所、土が少し盛り上がってます。


ナナちゃん、やおらねじり鉢巻にタスキがけ、スコップ取り出し、よっこらしょおぅーっ!


「おおお、すんげえっー!

タ・ケ・ノ・コ GET‼️」


ああ、そりゃ道理だわ、だって竹藪だもん。


もう止まらない、ナナちゃんパワー全開!

次々と筍を掘り出します。


「これはこれで豊作って奴だよね」

お顔は泥だらけだけど、白い歯見せてにっこり笑うナナちゃん、とてもキュートです。


今日の料理はきっと筍づくし、季節の味を堪能してね。

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