ナナちゃんとかぐや姫

ナナちゃんが新しい竿を作るために、裏山に登って竹を物色していると、

下から三節目がキラキラ金色に輝く竹がありました。


「まあ、綺麗。

この光っている真ん中辺りをぶった切ろうかしら」


ちょっと待って、ナナちゃん、それ、なんか大事なものが真っ二つになる気がするよ。


「うっさいわねぇー!

ほっといてよぉ~!!

あら、わたし誰と話してるのかしら?」


でも、何だか心に引っかかります。

もう少しで、思い出せそう。


「うーんとぉー。

あっ!

わかったぁー!

これ、ミニチュアの月の赤ん坊が入ってるパターンの奴ねぇー」


ナナちゃん、ミニチュアとかフィギュアじゃないから。

もうちょっと風情のあるちゃんとした呼び名があるんだけどね。


「確かすくすく育ってメチャクチャ美人の姫になって、大勢の殿方達をたぶらかしちゃったりするイケナイ子なのよね。

いやいや、そうと分かれば長居は無用」


ナナちゃんは、そそくさとその場を離れて行きます。


「誰かいい人に拾われるんだよ」


それじゃあ捨て犬だよナナちゃん。


「さっきから、ホントうっさいわねえ!

この街のお姫様は、ナナ一人で充分なのっ!!」


そりゃまあ、ごもっとも。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る