ナナちゃんと乙姫様

ある日の事、ナナちゃんがポチの散歩をしていると、少年達がカメをいじめています。


「ぐふふ、これはカメを助けて竜宮城へ御招待のパターンの奴ねぇ」


ナナちゃん、それは無理でしょ。

あなたの暮らしているのは山に囲まれた田舎街だから。


でもナナちゃんはお構い無しに

「これっ!

そこの悪童達、弱い者いじめは止めなさい。

小さい時からそんな事をしていると、立派な大人になれないわよ」


自分より幼いチビに小さい呼ばわりされた少年達は、毒気を抜かれて?

退散退散。


残されたカメさん曰く

「お嬢さん、ありがとうございました。

お礼に竜宮城へ」


えーっ!

ちょっとカメさん、やっぱり行くの竜宮城?ここかなり山間部だけど大丈夫?

それとナナちゃん、そのドヤ顔でこっち見ないで!


「さあさあお嬢さん、私の背なにお乗りあれ。

ちいとばかし揺れ申すがな」


ナナちゃんが背中に乗ったのを確認すると、カメさん手足と頭を引っ込めてクルクルグルグル回り出し、やがて出てきた火炎噴射!


ガ、ガメラだったぁっ!


海に向かうと思いきや、どんどこどんどん急上昇。

たどり着いたのは山の頂、『元祖・竜宮城』


入り口には黒服の呼び込みのお兄さん、ネオンチカチカ、タイムサービス実施中。


「はーい、一名様ご案内!」


絶対、ここ違うよね。

元祖とか本家とか言ってる段階で違うでしょ?


ボックス席に案内されたナナちゃんがノンアルコールモヒートを飲んでいると、隣の席の酩酊親父が話かけて来ます。


「こるぁっー!

お前は、こないだ『海のバカやろーおっ!』と悪口雑言を吐いた女童であろう」


えーっ!ただの酔っ払いの親父かと思ったら、海の神様?


ナナちゃんおずおずと

「もしかして、そのお声はポセイドン様?」


すると神様、顔を35度傾け、人さし指を立てると

「チ、チ、チ、違ぁいましたぁ~っ!

今はネプチューンなのよねぇー」

と、何故かおネエ言葉でのたまいながら、こぶしを回して


「ギリシャにいるときゃポセイドンと呼ばれたのぉー ♬

ローマじゃ、ネプチューンとぉ、名乗おぉったぁのぉー ♬」


、、、。

ゴメン、もうイイわ。

乙姫様とカスリもしなかったけど、さようなら。

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