ナナちゃん、海へ行く

ナナちゃんが暮らす街は四方を山で囲まれた閑静な田舎。


だから海に行くのって、テンションあがりっぱなしの大イベント。


海のある街に降り立ち潮風が流れて来ると、興奮状態はどんどん高まっていきます。


やがて、潮の香りが強まり、波の音が聞こえ出すと、もう限界、我慢出来ません。


可愛いサンダルを脱ぎすて、猛ダッシュ。

真っ白な砂浜を目指します。


「海だぁーっ!」

「船だぁーっ!」

「水平線だっー!」

「おおおっ!砂だ!砂だぁ!すぅなだぁああああっ」


いやいやナナちゃん、砂は何処にでもあるから。


もおダメ、お腹の底から突き上がる衝動を抑える事が出来ません。

水平線に向かって、両足を肩幅に広げて踏ん張って、両手を口角に当てると力一杯。


「海のバカやろーおっ!」


寸時も開けず、海からの怒号。


「こるぁっー!なんやとおーっ!」


「きゃあ~、ごめんなさい」


脱兎のごとく砂浜を駆けようとするんだけど、足を捕られて三度転びました。


ポセイドン様を怒らせてはいけませんよと言うお話です。


学習しようよナナちゃん。

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