第十五分節:決戦は初夏(仮題)
1942年4月10日、アメリカ合衆国は国力的には優位なまま、追い詰められつつあった。その原因は日本軍の攻勢、だけではない。日本軍の攻勢に有効な反撃を行い得ないことも、一因ではあったのだが、それだけならば合衆国にとってそこまで大打撃とも言い難い。問題は、ドイツ軍である。西インド諸島を日本軍が押さえ込んだ以上、そこを起点としてドイツ軍の躍進が行いうるわけだから、通商護衛作戦が破綻しつつあった。合衆国は、豊富な物量を保ったまま餓死しつつあったのだ。
と、いうのも、合衆国の列車輸送能力は、国土に比較して非常に低レベルなものであり(まあそもそもこの当時の列車輸送能力というものは総じて低いものではあったのだが)、船による輸送が必須といえた。特に、東海岸と西海岸では産出する商品が異なる。それをだぶつかせずに広い国土に循環させるには、パナマ運河を必須とする作りとなっていた。
故に、合衆国はパナマ運河がないと滅亡する。故のモンロー政策であったのだ。
そして、合衆国は不利な状況のまま、改善策を、本来ならば日本軍が行うような博奕のような手で行うこととなる。
……決戦の日取りは初夏、夏も近づく八十八夜近辺となった。
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