感想戦ノ弎:イギリス軍から見た第一次ベンガル湾海戦

 第一次ベンガル湾海戦は、イギリス海軍史上前代未聞の大敗北に終わった。何せ、主力艦艇10隻余りの大艦隊を連れて参戦した内生きて帰れた主力艦艇はわずかに三隻に過ぎず、その主力艦艇も三隻全てが傷物となっておりどこかで修復していないと動かせない状態であった。そしてそれだけではない、彼らはインドを失った。イギリスにとってインドを失うということがどれだけ甚大な被害か、そんなことは私が言わなくとも十全に伝わるだろうが、ここに白人種最大の会社である東インド会社は滅亡した。倒産ではない、滅亡である。

 さらに(イギリスにとっての)災難(=全世界にとっては福音)は続くもので、自由インド政府が決起をうながした結果、インド総督であるヴィクター・ホープをはじめとしたイギリスの要人は全員現地で現地人、すなわちインド人の革命によってことごとく殺害された。独断でインドを連合国として参戦させた上にインドの革命派を弾圧したため当然の最期と言えたが、その最期はかなりむごたらしいものであった。レーティングに引っかかりかねないため詳細を記述するのは避けるが、インド総督府の幹部の肉片が発見できたことが奇蹟と言えるほどの殺害方法であった。

 そして、この結果を見聞した旧中近東地方こと現アル朝諸地域は、枢軸国に賭けたことが成功であることを確信した。そしてその確信は、模範解答とも言える正解であった……。

 そして、本国艦隊はこの結果を重く見て、インド再侵略のための艦隊を派遣、スエズ運河ルートを使い東洋艦隊の増援を試みた。だが、この増援艦隊は思わぬところで足止めを食らうことになる。結果、第二次ベンガル湾海戦にはかろうじて間に合ったものの、間に合った結果、却ってインド洋に転がる艦艇を増やすだけになってしまったのは、まだ未来の話ではあるが、一応記述しておく。

 かくて、歴史は大きく動き始めることになる。大東亜共栄圏を起点とした決起行動は、遂に実を結びはじめたのだ……。

 そして、彼らはモルディブ諸島群、すなわちたびたび出てきたアッヅ環礁の秘密基地にて大規模な策謀を練り始める。白人種らしい冒険心に満ちた嗜虐性の高い作戦は、徐々に、だが確実に、発動するために念入りに立てられはじめた……机の上では。

 なんにせよ、本国艦隊からの増援が来るまでにアッヅ環礁基地が知られたらお仕舞いである。結果から言えば、それすらも間違いであったのだが、一応本国艦隊の到着を待つ間に彼らが取った行動、それは……。

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