わらし
学校の教室
放課後
中学生が屯している。
①
「突然だけどさ、幽霊って信じる?」
②
「いんや。」
①
「え?」
②
「え?」
①
「何か意外。」
②
「そう?」
①
「めっちゃ信じてそう。」
②
「そんなアホではない。」
①
「幽霊信じる=アホ、じゃないから。」
②
「え、信じてるの!?」
②、肩を震わせて笑う。
①、②の肩をど突く。
①
「……信じてる訳じゃないよ。」
②
「ん?」
①
「じゃないんだけど……」
②
「見た、とか?」
②、冗談っぽく笑う。
①
「うん。」
②
「……マジ?」
①
「何かさ、夜中に物音がしてね、」
②
「いやいやいやいやいや。」
①
「何よ?」
②
「言わんで良い!」
①
「……聞いて欲しいじゃん。」
②
「興味ないから。無いから!」
①
「……。」
ガタッと物音がする。
②、ビクッと肩が上がる。
②
「もう帰ろうか?」
①
「家、今日一人だからヤダ。」
②
「って言ったってさぁ。」
急に曇りだす空、雷が鳴る。
思わず声を上げる②。
①
「……。」
②
「通り雨が去るまで、、だよ。」
①
「一人で帰れる?」
②
「一緒に帰るから。」
②、ゆっくりと③の方を向く。
実は③、ずっと居た。
③、全く動じていない。
それどころか、ぐっすり寝ている。
二人で③を揺り起こす。
①
「ねぇ、幽霊って信じてる?」
③、もそっと起きながら頷く。
②
「嘘だろ!」
③
「本当。」
①
「私ね、昨日ね、小ちゃい女の子、見たのぉお!」
②
「わーわーわーわーわー。」
③
「いっぱい遊んであげなきゃねー。」
①
「へ?」
③
「それ、座敷童子だと思うよ。」
②
「……。」
①
「私の家、お金持ちになるの……?」
③
「そりゃ分からん。」
①
「だって、富の象徴でしょ?」
③
「その実態は表に出せなかった子達だって、ばぁちゃんが言ってた。」
①
「?」
③
「所謂、口減しの子。」
①
「そんなぁ……。」
③
「遊んで欲しいだけだよー、きっと。」
①
「怖いなぁ。」
③
「なら、放っておけば?」
②
「え?」
①
「可哀想な気もする……。」
③
「変に怖がられたり同情されて、妙な干渉される方が可哀想じゃない?」
①
「確かに……。」
②
「……。」
③
「お互い干渉せず、が一番だよね。」
①
「そっか……。」
①、家の方角に向かって拝む。
②
「何してんの?」
①
「怖がってごめんねって。」
窓の外が晴れる。
雷も止んでいる。
少し感動している①。
③
「良かったねー。」
②
「……。」
帰り支度を始める①と③。
②、③の背中をぎゅっと摘む。
(終わり)
放課後中。 @yuzu_dora
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