わらし

学校の教室

放課後

中学生が屯している。


「突然だけどさ、幽霊って信じる?」

「いんや。」

「え?」

「え?」 

「何か意外。」

「そう?」

「めっちゃ信じてそう。」

「そんなアホではない。」

「幽霊信じる=アホ、じゃないから。」

「え、信じてるの!?」


②、肩を震わせて笑う。

①、②の肩をど突く。


「……信じてる訳じゃないよ。」

「ん?」

「じゃないんだけど……」

「見た、とか?」


②、冗談っぽく笑う。


「うん。」

「……マジ?」

「何かさ、夜中に物音がしてね、」

「いやいやいやいやいや。」

「何よ?」

「言わんで良い!」

「……聞いて欲しいじゃん。」

「興味ないから。無いから!」

「……。」


ガタッと物音がする。

②、ビクッと肩が上がる。


「もう帰ろうか?」

「家、今日一人だからヤダ。」

「って言ったってさぁ。」


急に曇りだす空、雷が鳴る。

思わず声を上げる②。


「……。」

「通り雨が去るまで、、だよ。」

「一人で帰れる?」

「一緒に帰るから。」


②、ゆっくりと③の方を向く。


実は③、ずっと居た。

③、全く動じていない。

それどころか、ぐっすり寝ている。

二人で③を揺り起こす。


「ねぇ、幽霊って信じてる?」


③、もそっと起きながら頷く。


「嘘だろ!」

「本当。」 

「私ね、昨日ね、小ちゃい女の子、見たのぉお!」

「わーわーわーわーわー。」

「いっぱい遊んであげなきゃねー。」

「へ?」

「それ、座敷童子だと思うよ。」

「……。」

「私の家、お金持ちになるの……?」

「そりゃ分からん。」

「だって、富の象徴でしょ?」

「その実態は表に出せなかった子達だって、ばぁちゃんが言ってた。」

「?」

「所謂、口減しの子。」

「そんなぁ……。」

「遊んで欲しいだけだよー、きっと。」

「怖いなぁ。」

「なら、放っておけば?」

「え?」

「可哀想な気もする……。」

「変に怖がられたり同情されて、妙な干渉される方が可哀想じゃない?」

「確かに……。」

「……。」

「お互い干渉せず、が一番だよね。」

「そっか……。」


①、家の方角に向かって拝む。


「何してんの?」

「怖がってごめんねって。」


窓の外が晴れる。

雷も止んでいる。

少し感動している①。


「良かったねー。」

「……。」


帰り支度を始める①と③。

②、③の背中をぎゅっと摘む。


(終わり)

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放課後中。 @yuzu_dora

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