転生
学校の教室
放課後
中学生が屯している。
①、スマホをいじっている。
①
「あ〜!」
②
「何だよ。」
①
「漫画も小説も、何処もかしこも輪廻転生、異世界転生。つまんねー。」
②
「あー。」
①
「どんだけ現実に絶望してんだよぉ。」
②
「確かに。」
①
「生き直しとか異世界に想いを馳せてないで現実見ろし。」
②
「世知辛いなぁ。」
間
イライラの余り、のたうち回っている①。
②
「なぁなぁ。」
①
「あん?」
②
「もし転生したらどうなると思う?」
①
「つまらん!異世界教が!」
②
「まーまー落ち着けって。俺が言いたいのはチートじゃなかったらって話。」
①
「ん?」
②
「主人公が毎回チートってのが、つまんねーんだろ?」
①
「確かに。その一面は否めない。」
②
「だから、チート機能が無かったらって話よ。」
①
「そんなの即死でしょ。」
間
②
「もうちょい考えてよぉ〜。」
①
「だってさ、考えてみ? 言葉通じないんだよ?」
②
「……身振り手振りで何とかなるかもじゃん。」
①
「異世界でしょ? 文明が違うから通じないよ。」
②、暫く考える。
②
「生き直しの方は?」
①
「確固たる意志がない限り同じ人生をなぞるだけ!基本スペック一緒なんだからさ。
ドラマみたいに上手くは行かないよ。」
②
「もしもの世界って面白いだろ?」
①
「その”もしも” を楽しみたくても、転生ばっかじゃつまんねーって話だ。
異世界教徒め!」
②
「……」
①
「成敗じゃ!」
②
「容赦ねーな。」
①
「なぁーんか、面白い事ないかな。」
②
「……ドッペルゲンガー。」
①
「え?」
②
「ドッペルゲンガーは面白くね?」
①
「は?」
②
「自分とおんなじ誰かを見付けんの。」
①
「んで、どうすんの?」
②
「……話、聞く。」
①
「そん時、ドッペルさんが自分よりも充実してたらどうすんの?」
②
「それは、その、受け止めるさ。」
①
「あんたには無理だね。」
②
「……今だって充分楽しいし。」
①
「……。」
①と②、照れ臭そうに俯く。
そんな二人を夕日が照らす。
何だか青春の1ページの様である。
③
「バタフライエフェクト。」
①②
「え!?」
実は③、ずっと居た。
③はジャムパンを食べている。
③
「あれって、何処までがバタフライでエフェクトしてる事になるんだろうなぁ。」
①
「確かに。」
②
「意味分かってる?」
①
「……。」
③
「君達が分岐点を違える事で、このジャムが不味くなったら嫌だなぁ。」
①
「……なるほどね。」
②
「!?」
①
「今が一番って事でしょ。」
①と③、お互いにグッドのポーズ。
②
「……何か違うだろ、絶対。」
夕日が三人を優しく包む。
(終わり)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます