放課後中。

@yuzu_dora

ヒカップス

学校の教室

放課後

中学生が屯している。

吃逆が止まらない①。


「なぁ、しゃっくりって100回しちゃうと死ぬんだろ?」

「死なない死なない。」


①、吃逆。


「今何回目?」

「数えてないけど……。結構行った。」

「おぉ!」

「ひゃっくリストの私が教えてやろう。ひゃっくりを100回すると……」


①は吃逆。


「確実に吐く!」

「え。」

「ゲボ率驚異の100%」

「そう、なのか?」

「どんどん胃液が上がって来んの。現に今も気持ち悪い。」

「ここで吐くなよ?」


①、ニヤける。

②、①に背を向ける。

暫く①の吃逆だけが木霊する。

②、振り向いて全面白塗り目黒縁のマスクを①に見せる。


「わぁ!」

「あー、ありがと、ありがと。」


②、マスクを外して学生鞄にしまう。


「何だよぉ。」

「あんた、いつもこんなの持ち歩いてんの?」

「面白いだろ?」

「没収されるよ?」

「……黙っててぇ〜。」

「……。」


①、吃逆が止まらない。

流石に辛そう。


「大丈夫?」

「本当は口開けてしたい。」

「ん?」

「ひゃっくり、ゲップみたいなの。」

「やってみて。」


①、口を開けて吃逆をする。

げっぽり、げっぽり言う。


「本当だ。」

「口閉じて成るべくゲップっぽくならない様にしてんの。だけど、出た空気が戻る……。」


①、げっぽり、げっぽりし始める。


② 「……酷だが、止めてくれないか。」


②、何故か某グラサンパパ風。

①、悲しそうに口を閉じる。

良く見ると、全身で吃逆をしている①。


「疲れそうだな、お前のしゃっくり。」

① 

「もうさ、一種の運動だと思って諦めてる。」

② 

「……ってかさ、さっきから気になってたんだけど、”ひゃっくり” じゃなくて ”しゃっくり” じゃね?」

① 

「え?ひゃっくりでしょ?」

② 

「しゃっくりだよ。」

③ 

「いや、コロボックルだね。」

①と②

「コロボックル!?」


実は③、ずっと居た。


「コロボックルは妖精だろ?」

「そう。一回する毎に口からコロボックルが出んの。」

「何でよ?」

「さぁ、妖精だからじゃね?」

「どんな妖精だよ。」

「だから、ずっとコロボックル守ってんだと思ってた。」

「……なるほどね。」

「いや、何が!?」

「それなら私、頑張れるわ。」


①と③、お互いにグッドのポーズ。


「木の妖精だからね、コロボックル。」

「私は大精霊なのだ!」


①、吃逆をする。


(終わり)

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