#16 守れない
次々と徒手空拳を繰り出すセイギ。
それらすべてを続々と
それどころかその連撃の隙間を縫って、俊敏な拳打を一撃。
セイギの顔面に叩き込む。
持ち前の耐久力でそのダメージをセイギは堪え忍び、攻撃を再開するが、結果は同じ。
何度セイギが挑もうと、
気づけばいつのまにか、セイギの防戦一方に状況は変わり、嬲り殺しになっていた。
一心不乱。
身を屈め、身をよじりながら、ひたすらに回避とガードを繰り返す。
そんな折、
不意に攻撃が止む。
その異変に気づいた瞬間。
霞むような視界が、溜めの姿勢に入る
「ホアチャァッ‼」
怪鳥音。鋭利な側頭蹴りが、真神正義の胸部を刺し貫く。
吹っ飛ばされたセイギは、綺麗に弧を描いて地面に転がるように不時着。脳が状況を処理しきれないまま、衝撃の余韻に思わず嗚咽。苦悶の表情が滲む。
「いいか、世界だぜ?あの女を狙って世界中からありとあらゆる勢力がこの四国に集まってきている。
仮にこの場を凌ぐことができたとしても、もっとヤバい奴らがぞろぞろとおまえの前に現れる。星詠みの巫女を守るってのは
セイギは、歯を喰い縛りながら起き上がろうとする。
直後、胃からいろんなものが込みあがり、その場で吐瀉物を撒き散らす。
そんな彼を、先程まで嬉々とした様子から一変して、
「それァつまり、あの女一人のために世界を敵に回すってことだ。
どう足掻いたところで今のおまえじゃ、
その言葉が、
ドクンッ、心臓が跳ねる。
彼の情景に浮かびあがる懐かしい少女。
この世のすべてを嫉み、この世の凡てを憎み、この世の総てを憂いた彼女。
それ故に孤独を愛し、孤独を尊び、孤独を背負い、孤独と成りて、孤独を畏れた。
何事にも不器用で、不愛想で、他者からの理解を求めず、
彼女をなぜ、救ってやることができなかったのだろうか。
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