第4話 ダンジョンに行く

「さて…とりあえず回復ポーションと還しの羽、後は万能薬…こんな物で良いかな?」


俺は荷造りを終え新しい宿を契約した後冒険者御用達の雑貨屋に来ていた。


もちろん昔リオと行ったダンジョンをもう一度調べる準備をしにだ。


とりあえず俺はまず回復ポーションと状態異常を回復出来る万能薬そしてダンジョンからすぐに街に戻って来られる還しの羽を買った。


これらはダンジョンにいくなら何がなんでも揃えたい必須アイテムでもし揃えられないならダンジョンに行くなとすら言われる程重要なアイテムだ。


1度自分で攻略しているダンジョンとは持っていく事に越したことは無い。


そんなこんなで俺は必要なアイテムを揃えた。


この後すぐにでも向かいたいが焦りは禁物だ。




「やぁ、ライラさん」


「あら、レイさん新しい依頼紹介しましょうか?」


「いや、ここの近くの魔物の活動状況はどうなってるわかるか?」


俺は目的のダンジョン周辺の魔物の活動状況を確認するために冒険者ギルドに来ていた。


「ここら辺は確かレイさんの故郷の近く…いえなんでもありません…魔物の活動はあまり無いですね何かあったんですか?」


「そんなに気にしなくてもいい…なぁに…少し懐かしくなってな。」


実は俺の故郷は子供の頃に魔族に滅ぼされていた。


そしてここのダンジョンはとある理由で知られていないし知らせてはいけないので俺は適当に濁す。


「なるほど…あまり思いつめないでくださいね?」


「あぁ、心配するな…そんなんじゃない…それより情報助かった。」


「えぇどういたしまして!行ってらっしゃい」




そうして俺はダンジョンの入口に来ていた。


「ここに来るのも久しぶりだな…」


入口付近はかなり荒れていた。


まぁそれも仕方ない…ここは本来俺の故郷の村が管理していたが村が滅ぼされてからというもの管理する者がいなくなってしまっていた。


「早速調べてようか」




そうして俺はダンジョンにはいって2層まで進んでいた。


このダンジョンは3層から出来ているので半分ぐらい来た事になる。


途中スライムやゴブリン等の最弱レベルの魔物にしか今のところであっていないが前来た時より強い気がする。


ダンジョンでは魔力が停滞したり濃縮されているので同じ魔物でも地上より強くなりそもそも強い魔物が居る事が多いがここの魔物はそれ込みでも強い気がする。


「おかしい…何が起きている?」


これは俺の目的関係なく調べた方がいいだろう。




とにかく俺は3層の調査をすすめる


途中前回は居なかったブラックスネークやゴーレムと言ったそこそこの魔物が居たが他におかしなところは見つからなかった。


後は1番奥の部屋を調査するのみになっていた。


前回と同じならこの部屋には石版がある。


俺は最後の扉を開けるとそこは廃れていてツンとした臭いが鼻を付いた。


扉を開けたことにより埃も舞い上がっている。


そして部屋の奥を見るとそこにはあの時の石版があった。


しかしその石版は、初めてみた時と違い淡く青い光を放っていた。


「なんだ…これは?」


近づいて見ると文字が書かれている。


いや、前来た時もあったのだがその時とは何か違う気がする。


石版の文字は見たことの無い文字で書かれているので解読はできない。


これも前と変わらない。


ただ…何かが違う。




「触れてみればわかるか?」


この石版は昔母から聞いた話では潜在能力を解放するだけで危険な事があった話は聞いたことがなかったので大した危険はないだろう。


ただ普通では無い状況が続いているのでどうしても躊躇ってしまう。


ただここで躊躇っていても何も変わらないのも事実。


「はぁ仕方ない…強化ブースト!」


俺は自分に身体能力強化の魔法をかける。


「さぁ…鬼が出るか蛇が出るか!」


そう言いながら俺は石版に触れた。


そうすると全身に溢れんばかりの力が流れて来るような感覚と共に石版の光が消えていった。


そして数秒で完全に光が消えてしまった。


しかし、何故だろうか…


「あまり…変わった気がしない…?」


最初触れた時には確実に感じていた力が流れてくる感覚何故か変わった気がしないその力は自分の中にあるのはわかる…


ただ何も変わっていないのだ。


いや、正確に言えば少し身体能力が上がっている様な感覚はあるのだがそれしかない。


あれだけの力が流れてきたのに対してあまりにも恩恵が少な過ぎる。




そんな事を思った瞬間ゾワリと悪寒が走った…


「なんだこの気配?!」


それは悪意の塊でありそして異質なそうまるで魔族のような気配だった。


「有り得ない…」


そうありえないのだ今感じた気配はいきなり出てきた。


普通近づいてきたなら段々と気配を感知出来る。


そして近い…おそらくこの気配はダンジョンの入口辺りからする。


まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい


勝てない…あれには勝てない無理だ。


過呼吸になり冷や汗が止まらない…


気配が段々と近づいくるここは3層そして行き止まり…


少なくとも2層まで戻らないと確実に鉢合わせる!




俺は死に物狂いで何とか2層の部屋の一室まで戻っていた


「はぁはぁ…なんだよこれ…」


その気配はすぐそこまで近づいてきていた。


ただそのソイツはおそらく迷わずに3層の石版の部屋まで一直線まで進んでいるようだ。


このままいけば何とかやり過ごせるだろう。


そんなふうに思った瞬間だった。


俺の体は急にぐらついた。


「なっ?!」


足元を見ると崩れていた。


どうやらあまりにも古くなっていて俺の体重すら耐えられなくなっていたらしい。


いやそんな事はどうでもいい。




「おや?なにか居ますねぇ?」


そんな声が通路から響き渡る…


気づかれた!


そして段々と足音が近づいてくる


「やるしかないか…?」


こいつには確実に勝てないだろうが逃げることならあるいは出来るかもしれない。


俺は、アイテムポーチを漁りながらの還しの羽をすぐに取り出せるように準備する。


こいつは近くに生物がいる時にはワープできない仕様になっている。


当然だこいつは自分と一定範囲内に居る全ての生き物がワープする仕組みになっているので危険な相手を街に連れ込むことがあるからだ。


そうでなくとも敵は急に現れた…


という事はもしかするとワープの痕を見て追いかけてくる可能性があるので今は安易に使えない。


ただ幸いな事にさっきと比べそいつの気配は薄いなんと初めて感じた時とは違い死の感覚が薄い。




そんな事を考えていると、とうとう足音が俺のいる部屋の扉の前まで来ていた。


俺も扉の前に立ち深呼吸する


そして…


「ふん!」


俺はその気配に狙いをつけて扉を思い切り蹴飛ばすのだった。

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