バカな私
@tatatann
私
なぜだと感じたのは高校に入って少し経った頃だった。私は高校に入り空き時間によくアニメを見るようになっていた。アニメを三作品ぐらい見た時にふと私には彼女が出来たことがないことに気づいた。私は普通の人とは、ずれているところがあり、中学校に通っている間は彼女が欲しいと感じることがまずなく、気づいたら今にいたる。そもそも普通の人とはなんなのか、普通な人など存在しないと私は思っている。今までの人生いろんな人と関わってきたが、どこかしら関わってきた人全員に「おかしいだろ」とツッコミたくなる場面に出くわす。だが自分でずれていると思っている私がツッコミたくなる場面とはそもそもおかしいのかもわからない。普通な人を探すというのは、河童を探すのと同じくらい難しいことなのかもしれないと、最近考えている。もしかしたら河童が普通なのか。私は気づくと恋愛アニメをよく見るようになっていた。彼女ができたことのない私が彼女が欲しいと思うのは時間の問題であり、気づく頃には彼女が欲しくなっていた。その日を境に寝る前や授業中などにどうしたら彼女ができるのか、考えるようになった。だが私は彼女ができたことがないので恋愛アニメからヒントをもらうしかない状況に陥った。ここで一つ彼女を作るにあたって大きな問題に気づいた。この高校は廊下を歩いていても、授業を受けていても毎回心に引っかかるような何かがる。そうこの高校は女子がほぼいないのだ。女子とすれ違う確率は北海道でゴキブリに遭遇する確率に相当するかもしれない。なぜなら私が入った高校は工業高校だったのだ。私はその瞬間私の青春は終わったと感じた。なぜ高校選びをもっと真面目に考えなかったのか、タイムマシーンがあるならば今すぐに乗って高校を決める前の私に今適当に考えている選択の重要さを、殴ってでもわからせたい。工業高校、それは男臭さの結晶である。中学までは六割ぐらいが女子の学校に通っており、私はそれが普通なのかと思っていた。そして今の学校だ。今の学校は男子が9割以上を占めている。中学の時の自分がいかにふざけた生活をしていたか今になってわかる。いや今の生活が地獄なのかもしれない。授業を受けていても汗の匂いと蒸し暑さが授業の内容の半分以上を占めている。この生活の中でどうやって彼女を作ればいいのだ。ここまで読んで思った人もいるだろうが、なぜ私は自分が通っている高校の中だけで、出会いを作ろうとしていたのか。考えるに原因は恋愛アニメだろう。当時見ていた恋愛アニメはほとんどのものが学園ものだったのだ。学園もののような出会いは滅多にないと今になってよくわかる。その中で私は「彼女を作るには部活選びだ」と一つの答えをだす。マネージャーがいる部活に入れば彼女ができる確率は何倍にもなると当時の私は考えていた。そして待ちに待った部活の見学期間が来たのだ。これは未来の僕をかけたた戦いとなる。普段朝飯を食べない私はその日だけはバナナ、プロテイン、ヨーグルトとアスリートのような朝飯を食べ準備万全で学校へ向かって行った。先に結果を教えると、この戦いは敗北に終わった。理由は簡単でマネージャーがいる部活はサッカー部とバスケットボール部であり、私は球技が大の苦手だからである。そりゃ私だって少し苦手なぐらいなら頑張ったさ。だが私は体育などでサッカーをやる時はできるだけボールが来ないとこをふらふらと歩いて、仮にパスが来ても気づかないふりをして通り過ぎるという、サッカー以前の問題の持ち主なのだ。こうして僕はなんとなく部活に入り、この戦いの敗者となったのである。だが問題はここからである。なんとなく入った部活が地獄のようにきつく、毎日生きていくのがやっとな高校生活を送るようになってしまった。仮入部の期間は楽しい内容だった部活がいざ本格的に入部すると、全く仮入部の雰囲気を感じさせない地獄へと変化したのだ。私は「こんなにひどい詐欺があるか」と感じていた。そしてひたすら耐え抜く一日一日を過ごしていると、卒業式を迎えていた。読者も急すぎる高校生活の終わりにはついて来れないだろう。三年の頃になると私は全国大会にも出場をしているレベルになっていた。高校三年間では、彼女は手に入れられないかわりに、筋肉を手に入れていた。卒業後私は緊急会議を開いていた。もちろん彼女を作るための会議だ。その会議には選び抜かれた私も含め四人が集まった。それぞれ集まったエリートを紹介すると、(名前は頭文字での登場とする)一人目がエヌだ。エヌは顔こそかっこいいのだが、どこか変わっていて私と同じく彼女ができたことのないエリートだ。変わっているエピソードでいうと、中学時代の修学旅行でみんなはこっそり隠してゲーム機などを持ってきているなか、エヌは自慢げにコンパクト化されているラジオを持ってきたのだ。あの時のエヌのドヤ顔は今でも忘れられない。二人目はアイだ。アイは見た目からお風呂に入ってないだろうと、感じさせるクオリティだ。もちろん彼女のいないエリートだ。アイはい見た目のクオリティからは感じさせない優しい心の持ち主で、怒った姿を見たことない。蚊に血を吸われようが、気にしないであろう優しさを持っている。私は思った。なぜ彼女のいない奴には、彼女のいない奴が集まるのだろうと。だがこの理論を覆えすのが、三人目のケーだ。ケーはエリートではない。ケーには彼女がいる。なぜ裏切り者のようなケーを会議に呼んだかと言うと、彼女のできたことのない者だけを集めてもアドバイスがもらえないからだ。ケーはなぜかわからないが、モテて、なぜかわからないが彼女がいる。それはババ抜きをやっていて最後のカードがそろわない謎現象ぐらいわからない。そして四人目は私である。この四人の会議は半日かかった。そして出た彼女作りへの大事なカギは余裕感を出すこととまとまった。何に半日もかけたのかは今でも謎である。そして私たちは約束する大学の最初の授業をそれぞれ余裕感をだして来ようと。説明忘れていたが、私は大学に進学することとなり、同じ大学に他の三人も通うことになった。私たち四人は同じ学部に入り、できるだけ出会いがありそうな授業を一緒に取った。いよいよ最初の授業の日となった。私は余裕感を出そうと上下スウェットでイヤホンで音楽を聴き便所サンダルで大学に行った。大学へ着くとエヌとアイの居場所が一瞬で分かった。エヌはベンチに優雅に座りラジオを聴いており、サングラスをかけていた。アイは帽子を逆向きに被り風を切るように歩いていた。余裕感をだした私たち三人は集まりケーを探した。ケーを見つけたがケーはいつもと変わらない格好だった。私たち三人は「ケー約束破ったな」と口を揃えて言った。ケーのもとへ近づくとケーは私たちを他人のような目で見てすれ違った。わかる、今の私ならケーの気持ちがわかる。強引にケーを仲間にして最初の授業の教室へと足を運んだ。結局私たちの周りには誰も近づいてこなかった。なぜ余裕感をだしたのにこのような結果になったのがその日の夜、ご飯を食べながら話し合った。だがその日ケーは絶望したかのような顔をして一言も発言をしなかった。その後も私たちはいろんな作戦を実施した。意味もなく大学の広場でお弁当を食べてみたり、意味もなく大学の図書室、カフェに行ったり、イベントや大学の行事に一回も休まずに参加した。そのような行動は虚しく全て結果は出ずに終わった。そもそもなぜ私たち四人は部活にもサークルにも入ってないかと考えると、そりゃ四人中三人がとてつもない雰囲気を出しているため勧誘の誘いが一回も来ず、部活、サークルへの入り方もわからないからである。気づけば私たちは二十歳になっていた。夜飯を食べながらの作戦会議もお酒を飲みながらへと変わっていた。だが私たちは決して居酒屋には行かない、決してだ。理由は口には出さないが行ったことのない新たな地へは足を踏み出すのが怖いからだ。作戦会議で出た作戦は基本全て実施したが一つだけ実施できなかった、切り札のような幻の作戦があった。それはケーの彼女に女子を紹介してもらうというプライドを捨てた作戦だった。ケーの彼女に無理やりケーを使い連絡を入れると、「どんな人?」と返信があり四人の写真を送った。そこからこの作戦についていくらケーに連絡を入れさせても既読スルーとなった。私たちは四年生となった。私、エヌ、アイはもう彼女作りを諦め悟りを開いていた。読者は「いつ彼女ができるんだ」と思うかもしれない。ここで重大な発表をしよう。今この話を書いてる私は彼女ができていない。そう私が伝えたい読者へのメッセージは「私と言う人間は結局私なのだ」と言うことだ。生まれ変わったとして私はまた新たな学生生活を送るとしよう。だが私が思うに結局今の私にまた戻ってくるだろうと思う。何回生まれ変わっても全く同じ私が何人も増えるだろう。私が何人もいるなんて想像するだけで気分が悪くなる。だが私の学生生活を思い返すと彼女は作ることができなかったが、今までの思い出を決してまでやり直したいとは思わない。誰とも被らない私一人の思い出が私にはある。それはきつく、思い返したくないような内容かもしれない。だがそんな思い出も全く同じ思い出は誰一人として持っていない。エム、アイ、ケーと私は一緒に行動することが多いがそれでも全く同じ思い出を持っているわけではない。私は大学を卒業し単位とは別に私らしい考え方を取得した。これからは彼女を作りを頭のどこかに残しながら私しか作れないような思い出を作っていこうと思う。もしかしたら今後運命の出会いというものに会うかもしれない。その時に私はその人を彼女にするために全力を出そう。読者勘違いはするなよ、決して彼女を作ることを諦めたわけではないからな。
バカな私 @tatatann
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