第21話 義手完成
私はロハから受け取った左手首の肉片を除去して、骨と腱を残しその動き方を研究したの。医学的知識が無かったけど、自分の手を動かしながら骨と腱の連動を確認して、義手作成はある程度の目処がたってきたの。
ただ、骨や腱の部分は再現出来ても、身の部分は再現が不可能だった……
「手袋を着けていれば問題ないわ」
セイレーンはそう言ってくれたので、出来るだけ軽い金属類で義手を組み立てる事にした。
義手の作成期間は支援活動を中断してるので、セイレーンは私の作業を隣で見つめてる。
「今日は義手を組み立てていくよ。上手くいけば今日中に仕上がるかも知れないよ」
「仕上がった義手は直ぐに着けるの?」
「動作確認で問題が無ければ装着するよ」
「楽しみね♪」
簡単な会話をしてから組み立て作業に取り掛かる。先ずはベースとなる骨格と腱を繋げるんだけど、骨格は贅沢と言われたけどオリハルコンを使い、動作の基本になる腱は従魔のアラクネクイーンから貰ったアラクネの糸を使用。とにかく丈夫な素材で全てのパーツを作ったの。
『カチャカチャ……』
丁寧にパーツを組み立て、2時間程で義手のベースが出来上がったので、休憩する事にしたので昼食を取ってから再び組み立てを再開。
疑似筋繊維と疑似神経をベースに繋ぐ、ここが1番繊細な作業なの。失敗すると義手の動作に影響がでるので細心の注意を払って作業を行って無事に完了したの。
「よし、これで義手は完成だよ。今から動作確認をして問題が無ければ装着できるよ!」
「本当にこんな物を作れるものなのね。機械人形なんかも作れそうね」
「心のない人形なら作れるね。機会があれば作ってみるのも良いかもね。さぁ、動作確認を始めるね」
一連の動作を確認してみたけど特に異常も無く、機械的な音も鳴らないので金属製の義手は完成したの。
「これで義手は完成したよ。今からセイレーンに装着するんだけど、神経と疑似神経を繋げる時に痛みがあると思うから我慢してね(汗)」
「大丈夫よ。さぁ、装着を始めて」
私は左手首を失ったセイレーンの左手に近付ける。
「っ……大丈夫よ続けて」
セイレーンが大丈夫と言うので、そのまま作業を続けて全てを繋ぎ終えたの。
「これで神経の接続は終わったよ。痛かったでしょ?よく頑張ったね。」
「失った時の痛みに比べれば大した事は無かったわ。手を動かしても良いのかしら?」
「うん、ちゃんと動くと良いんだけど……」
私はセイレーンが手首を動かすのを祈る思いで見守ると、左手の指が動き始めたの♪
「あぁ……セレスティア、私の左手の指が動いてるわ!私の思う通りに動く……本当にありがとう……」
セイレーンは義手が動く事を確認すると、感極まって泣き始めた。私はセイレーンを抱きしめて2人で喜びを分かち合ったの。
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