第22話 非常事態

 セイレーンは義手の扱いにも慣れてきて、日常生活に支障は出なくなったの。


「ここまで回復すれば支援活動に戻れるわ」

「その事なんだけど、魔将が出てきたから直接王都を目指そうかと思うの。王国の軍事拠点は壊すけど、その後の支援をすると私達の居場所を知らせるようなものだから……」


 セイレーンは支援活動を再開の事を口にしたけど、私は魔将がやって来るかも知れないと思ったので、支援はせずに王都を目指したいと伝えた。セイレーンは少し考えて返事をする。


「確かに軍事拠点を攻めれば居場所が判るわね。その後に支援活動をすれば間違いなく魔将との戦いになる……セレスティアの言う通りね。直接王都を目指すべきね」

「ありがとう。今日から次の街を目指して移動するね」


 2人で話し合った結果をママに報告をすると、ママも納得してくれた。


「支援をしてると隙が出来て、そこを突かれる危険があるから正しい選択だと思うわ。私はいつも通り【影】が持ち帰った情報を伝える事で良いかしら?」

「うん、いつもありがとう♪」


 ママへの報告を済ませて、私達は次の街を目指すのでスパロンへと戻る前に、ママといつものハグをする。


「ママ、行ってくるね。大好き愛してる♪」

「いってらっしゃい、大好き愛してるわよ♪」


 この時、これがママとの最後のハグになるなんて思ってもいなかったの。


➖・➖・エスティグマ視点・➖・➖

 エスティグマは男の頭を鷲掴みしていた。


「さぁ、お前の深層心理を覗かせてもらうぞ」

「ぐっ、ヤメッ……」


 エスティグマは男の深層心理を覗き、知りたい情報を引き出す。国王直轄組織【闇】によって見つけられ、エスティグマによって捉えられた【影】の者だった。


「成る程、カルメンはチェリモに居るのか。お前は用済みだ」


 そう言って、男の頭をそのまま握り潰した。

 

「直ぐにチェリモへ向かうぞ。聖女が一緒に居なければそのまま攫う良いな?」

「仰せのままに」


 チェリモへと到着して【影】の気配に気をつけながら捜索をし、それらしき場所を見つけたと報告を受けエスティグマはやって来た。


「気配は5人、聖女の気配は感じない。聖女以外なら問題ない、お前達はここで待機だ。我が直接捉える」


 エスティグマは建物を急襲する。カルメンの側に居たブラッドが動こうとしたが、既に首を刎ねられていた。ロイとガイがカルメンを連れて逃げようとしていたが、頭を掴まれ握り潰された。ユーリも抵抗しようとしたが腹部を貫かれその場で倒れた。

 そして残ったカルメンの腕を掴み、エスティグマは口を開く。


「聖女の弱点。お前には誘き寄せる餌に成ってもらうからな。はーはっはっはぁ〜♪」

「私は弱点にはならない。誘き寄せる事でお前達はセレスティアの手で葬られるのよ」

「聖女だろうと、魔将三人を相手にして勝てる訳が無いだろう(笑)」


 高らかな笑い声をあげたエスティグマは、カルメンを連れ去り王都へ戻った。


➖・➖・主人公視点・➖・➖

 私は拠点に戻り愕然とする……


 ブラッド、ロイ、ガイの無惨な姿があった。


「セレスティア様……」


 声がする方を向くと瀕死状態のユーリが居たので直ぐに回復魔法で治療すると、魔将が現れてママを連れ去ったと聞かされたの……


 ママ無事でいて……

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