第26話 盟約反故

 ティアード帝国がレオーネ王国の侵攻を退けて勝利した。不敗を誇るレオーネ王国が敗れた事は世界に衝撃を与えたのだった。


 帝都では勝利の歓喜に舞い上がり、活躍した者への論功行賞が話題になっていた。

 その中でも最大功労者として、私を帝都へ招聘して最大限の報酬を渡したいと、皇帝陛下からセイレーン様へ連絡が来た。


「これは論功行賞の名目でセレスティアを招聘して、帝国へ取り込もうとしてるわね…本当に情けない、盟約で互いに干渉しない事と定めたのに…」

「申し訳ないけど招聘は辞退するね(汗)」

「本当に申し訳ない…結局、帝国も天子を利用したいのね…それが政治なんだろうけど、帝国を見損なったわ。」

「私は帝国に肩入れして力を貸した訳じゃないんだけどね。これからは多国間の争いには一切関わる事を辞めるね。」

「私は帝国を見限るわ。ねぇ、帝国を去るのなら私も連れて行ってくれない?」

「えっ…本当に見限るの?祖国なんだよ?」

「これからはセレスティアと暮らす場所、それが私の祖国になるのよ。」


 セイレーン様が帝国を見限って、私と一緒に付いて来ると言い出したの(汗)

 私は直ぐに帝国を去るつもりなので、もう一度確認する。

 

「私は誰にも悟られずレオーネ王国の拠点へ戻るから、誰にもお別れ出来ないけど良いの?」

「良いわよ。書状を置いて行くもの。」

「うん、判った。行こう♪」

「あっ、書状だけ書かせて(笑)」


 そしてセイレーン様が書状を書き終えたので、カンテラやストラトスにさえ何も言わずにレオーネ王国の拠点へ転移したの。


「あら、セイレーンじゃないの!」

「お母様、私は帝国を見限ったので、これからはお世話になります。」

「えっ、そうなの?」

「はい、末永くよろしくお願いします。」

「あっ…はい、よろしくね?」


 そんな訳でセイレーン様と一緒に生活する事になったの。

 今頃、帝国は大騒ぎなんだろうな〜


➖➖➖スレイン視点➖➖➖

 セイレーンが帝国から去って行ったと連絡があったのだ。互いに干渉しない条件で盟約を結び、セレスティアの力を借りる事によって、レオーネ王国に勝利した。


 陛下や宰相達は盟約を無視して、論功行賞でセレスティアを帝都へ招聘し、何とかして帝国へ取り込もうとした。


 セイレーンは盟約を守らなかった帝国を見限って、セレスティアと行動を共にすると書状を残して去って行った。宰相達はセイレーンを裏切り者と言ったが、盟約を反故にした帝国が裏切り者だと僕は思う。


 僕は帝国の未来が心配になる…皇帝になっても周りの官僚達を何とかしないと、国を導く事もままならないと知ったからだ。

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