第23話 希望の光現る

 王国軍兵士の強さに歯が立たない…


「ここはもう持たない…第2砦まで退却するわよ!殿は私とストラトスで、カンテラは砦までの退路の確保!」

「セイレーン様、貴女は隊長だから先へ行って下さい。俺一人で殿は大丈夫です。」

「殿が落ちると隊が総崩れになるわ。二人で確実に相手を喰い止めるのよ!」


 帝国軍では精鋭揃いのセイレーン隊だが、魔族兵が相手になると1対1では歯が立たないのだった。唯一対抗できるセイレーンは、魔族兵を優先して倒して行くのだが、数の前では魔力が持たずに退いて魔力を回復させるしかなかった。


「セイレーン様、砦の安全を確保出来ました。早く門の中へお入り下さい!」

「ストラトス、砦に入るわ急いで!」


 何とか砦に退却出来たが…50人居たセイレーン隊は残り15人にまで減って、王国軍と戦う力は残ってなかった。


「セイレーン様、我々が壁となり攻撃を喰い止めます。帝都までお戻り下さい!」

「私は隊と共に残るわ。」


 隊員がセイレーンに帝都へ戻るように伝えるが、砦に残ると断るとカンテラが懇願する。


「セイレーン様、帝都へ戻りスレイン殿下へ戦局をお伝え下さい。貴女がこの中で一番帝都へ戻れる可能性が高いんです。我々の祖国を守る為にもお戻り下さい。」

「カンテラ…判ったわ。直ぐに帝都へ出発するわよ!」

「俺とストラトスで道を切り開きます。」

「えぇ、お願いね…」


 セイレーンを帝都へ戻す為に隊員達が道を切り開こうとした時、王国軍によって門が破壊された…


「手古摺らせやがって…親王騎士団師団長の俺の力を使わせやがって…おい、てめー等!男は皆殺し女は俺の元へ連れて来い!死ぬまで犯し続けてやるぜ!」

「あれは…無理ね…あんな者に犯されるなら、私は自害するわ…」


 圧倒的な魔族が現れセイレーンは戦う気力を失った…そして、辱めを受けるなら自害しようと決意したが…師団長に気づかれ阻止された。


「自害はさせないぜ、死ぬまで犯すと言っただろ?さぁ、仲間の目の前で始めようか(笑)」

「い、嫌ぁあああ~!」


 師団長がセイレーンの鎧に手をかけ外そうとしたその時、希望の光が現われた!


『ザシュッ!』


 師団長の腕を切断された。


「ぐぁああああああ!俺の腕がぁあああ!」

「汚い手で触れて良い方じゃないのよ!覚悟は出来てるのクズ魔族。」


 聞き覚えのある声にセイレーンは安堵して涙が溢れ出す…


「セ、セレスティア…どうして…」

「私の心がを助けに行けと言ったんだよ♪ちょっと待っててね、直ぐに片付けてくるから!」


 その言葉を残して、セレスティアは師団長へ向かって行くと、


「この砦に居るのは全部魔族なの?」

「ぐっ、そうだ、この数が相手だお前に勝ち目は無いぞ?」

「問題ないよ♪セレスティア.Z.シルヴァニアが命ずる救恤ラグエルの力よ我が友に仇なす魔族を裁け!」


 救恤ラグエルから裁きの光が降り注ぎ、砦の中に侵入していた魔族達を消滅させた。師団長は最後まで必死に耐えていたが、セレスティアの双槍により斬り伏せられ消滅したのだ。

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