第18話 辿り着いた者
レオーネ王国内に激震が走った。
王太子が魔物騒動を終息させる為に出陣したが、魔物との激しい戦闘で命を落とした。この事が国中に広まったからだ。
その噂を聞いた1人の男が食堂の片隅で安堵の表情をした。
『セレン、遂に王太子を倒したんだね。かなりの時間を費やしたけど、君の存在を感じられる所まで辿り着いたよ。』
その男はストラトス.バリオス、かつてセレスティアの元クラスメイトだった少年だ。
学園を退学してセレスティアを追いかけて、レオーネ王国まで単身でやって来たのだ。右眼は魔物との戦闘で負った怪我で失明、体中が傷だらけで激しい戦いを生き抜いたのだった。
再会を果たしても赦されるとは限らない。
だけど謝意を伝えなければ、前へ進む事も出来ないのだ。
ストラトスは食事を終えて、再びセレスティアを探す為に街を移動する。
小さな道を進んで行くと魔物に襲われてる商人を見掛けたので、助ける為に駆けつけた。
「大丈夫か?微力だが加勢する!」
「っ、感謝する!」
「私が壁となり攻撃を防ぎます。その隙をついて反撃して下さい!」
ストラトスは槍と盾を構えて、押し寄せる魔物の攻撃を盾で防ぐが、背後に控える商人は何とか反撃をするが、中々ダメージを与えられなかった。背後の守りに集中する為に反撃を繰り出せない…
「くそっ、このままだとゴリ押しされる…」
そう思いながら戦い続けると、徐々に戦況が不利になってきたその時、
「加勢するね。」
懐かしい声が聞こえた。
ストラトスは声のする方に顔を向けると、プラチナブロンドに紫の瞳の美少女が魔物と戦っていた。
『セレンじゃない…』
本来の姿を知らないストラトスは、セレスティアだと認識出来なかったが、少女の加勢で流れは変わり魔物達を無事に退けた。
商人が加勢した2人に感謝を述べる。
「助けて頂きありがとうございました。」
「間にあって良かった。気を付けてね♪」
「あの、貴女が聖女セレスティア様ですか?」
「うん、セレスティア.Z.シルヴァニアだよ。」
商人と少女の会話を聞いて驚き、ストラトスは少女へ声を掛ける。
「セレンなのか?見た目が違うから全く気付かなかった…」
「えっと…貴方は?あっ、ストラトス?」
「あぁ、ストラトスだ。本当にセレンなの?見た目が随分と変わってるね(汗)」
「うん…学園では偽装してたからね。」
「僕は、君に謝罪をして赦しを乞う為にここまで来たんだ…」
「赦し…それは私に求めるんじゃない。セイレーン様やスレイン様に求めるんだよ。」
「それは…」
「2人の赦しを乞う事、それが無ければ私は貴方を仲間だと認められない…ごめんね。」
ストラトスは赦しを乞う相手を間違っていたようだ。しかし帝国へ戻り2人へ謝罪をしなければ先へ進めないのだ。
「判ったよ、帝国へ戻り2人に謝罪をしてくるよ。赦しを得たら君の下へ駆け付けるよ。」
「うん、大変だろうけど頑張ってね。」
ストラトスは帝国に居る2人に謝罪する為に戻って行った。
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