第70話 努力の成果

 スピカでの休暇も1ヶ月が経過したの。

 毎日のようにダンジョンへ向かっては討伐を繰り返したの。セレン様は毎日【気配感知】に魔法イメージの訓練に励んだ結果、かなり成長したよ。

 私とセレン様は色んな事を話し合って、2人の絆は更に強固なものになったの。


 今はセレン様の魔法イメージの訓練中で、私は一緒に訓練を手伝いながら魔力操作をしてるの。セレン様は無詠唱で〚水弾ウォーターバレット〛は撃てるようになったので、今は〚水刃ウォーターカッター〛に挑戦中。私が発生させてる〚水壁ウォーターウォール〛に撃ってもらうので物を壊す心配は全くない。


「ちょっと違うだけなのに、実際にイメージするのはかなり難しいわね」


 額に汗を滲ませながらも、違う形状のイメージに苦労してるようなので、ちょっとアドバイスをしてみた。


「少しだけ詠唱してみて?慣れるまではイメージするのが難しいところを詠唱するのは良いと思うよ」

「判ったわ。カッター!」


 私の指摘通りにイメージの難しいところだけ詠唱すると、完璧ではないけど〚水刃ウォーターカッター〛を撃てたの。形状のイメージが苦手なら、そこだけを詠唱するだけでも発動時間はかなり短縮されるから、詠唱短縮だけでも効果は抜群だね♪


「うん、これならイメージし易いわ!レン、アドバイスありがとう♪」

「どう致しまして!」

「レンは〚水壁ウォーターウォール〛を発生させるだけで訓練になるの?」

「えっと、壁際を見てみて」


 セレン様は私の言った箇所をじっくりと見ると、それに気づいて驚きの声をあげる。


「あっ……、小さな鎖がある。しかも鎖が動いてるわね……」

「魔力操作で動かしてるの。結構難しくてさ、魔力も結構消費するんだよ!」

「話をしながら出来るのね……、」


 少し話に夢中になって、セレン様の訓練が止まってしまったけど、その後はしっかりと訓練を続けたのだった。


➖➖➖スレイン視点➖➖➖

 ようやく療養も終わって、僕はトレーニングを再開した。

 

「ほほぅ、動きは徐々に良くなってますよ」

「まだまだ全然駄目だよ……」

「焦りは禁物ですよ。今日の稽古は終了しますよ」

「そうだね。ありがとうございました」


 サインツ先生との稽古が終わって汗を拭いてると、セレンの事を思い浮かべる。あの怪我さえなければ……、今頃はセレンの故郷で休暇を過ごせてたのにと思ってしまう。


「はぁ~、セイレーンが羨ましいよ(笑)」


 思わず独り言を言って笑ってしまう。


「よし、次の休暇は必ずスピカへ行くぞ!」


 自分に言い聞かせるように声を出したのだった。

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