第68話 想像力とは

 野営テントのベッドで横になりながら2人で会話をしてるの。


「空間魔法って凄いのね、外から見れば小さなテントなのに、中はこんなに広いなんて驚きだわ!」

「確かに便利だね。でも魔法の真髄は使い手の想像力なんだよね。ミスティーク先生から教わってその意味がよく判ったもん」

「想像力?それが真髄?」

「セレン様は魔法を発動する時は、必ず詠唱するでしょ?」

「だって詠唱こそが魔法発動の条件だもの」

「そんなことないよ?だって、私は詠唱なんてしてないよ。だって発動条件は詠唱じゃないんだもん。詠唱は発動する魔法を明確にする為の補助だからね。殆どの人が詠唱するのは発動する魔法を明確にする為だよ、発動イメージを言葉に出すと明確化し易いからだね」

「発動イメージが出来れば詠唱不要になるの?」

「うん、今から証明するね。小さな水の玉よ顕現せよ!」


 私が詠唱すると右手に小さな水の玉が現れた。次は左手を前に出して詠唱無しで水の玉を現す。


「発動イメージが出来てれば、こんな感じに何も言わなくても水の玉を出せるでしょ?」

「本当ね…それが明確なイメージってこと?」

「うん、頭の中で発動する魔法をイメージするだけで良いの。慣れれば簡単な事なんだよ♪」

「簡単か…それてもレンは物凄く努力したんでしょ?」

「寝る前に魔力を消費するんだけど、その時に色々なイメージをして魔法を発動させてただけだよ♪」

「遊び感覚で物凄い努力をしてるのね(汗)」

「明日からはダンジョン攻略中は【気配感知】を、寝る前は想像する癖を付けると良いよ♪」


 少し説明に熱が入ってかなり休む時間を削った事に気付いて、今日の説明は終わりにした。


「遅くまで話し込んじゃったね(汗)明日もダンジョン攻略だし寝ちゃおうか。お休みなさい〜」

「そうね、凄く良い話を聞けたわ。おやすみなさい」


 明日もダンジョン攻略を頑張ろう♪


➖➖➖セイレーン視点➖➖➖

 魔法の真髄は想像力か…レンは貴重な知識を惜しみなく教えてくれる。治癒の時も〚治癒ヒール〛と〚回復リカバリ〛の違いを教えてくれたもの。これだけ沢山の事をしてもらってるのに、私はレンに何も返せてない…私が出来る事。

 レンが困った時に必ず味方となって力になる事しか出来ないわね。そんな時の為に、私はもっと力を付けないといけない。

 今回のダンジョン攻略で実戦を経験して力が増したのが良く判るの。レベルを上げる方が基礎能力の上昇は早いという事をね。


 私が他人の為に努力するなんて……レンとの出会いが人として成長させてくれたのね!

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