第53話 手加減なし

 私はセレン様の治療を終えて闘技場へ戻ると、第3試合はスレイン様の勝利で終わっていた……ゲイル先輩は元の顔が判らないくらい腫れていた。


(スレイン様も怒っていたのね……)


「レン、気をつけて。ジュリアは魔導師団員で兄の婚約者だ。事故と見せかけて大怪我を負わせる気かも知れないよ」

「大丈夫だよ。手加減は一切しないから!」


「第4試合を始める。4年ジュリアと1年セレンは闘場へ上がれ」

「「はい」」


 扇を持つジュリア先輩と、同じく扇を持つ私が闘場へ上がって戦闘開始。


「ゼクス様を陥れた罪は、痛みをもってて償ってもらうから覚悟しなさい!」

「私と戦うんだから、先輩も相応の覚悟はして下さいね」

「現役魔導師の力を見くびるなよ1年ガキが!」

「現役のなんとかには、前にも勝ってるんですよ?4年生おばあちゃん


 ジュリア先輩が扇に炎を纏わせ攻撃を仕掛けてくる。私は扇に水を纏わせ攻撃を相殺する。先輩は既に詠唱してたようで〚炎の刃フレイムブレイド〛を放つが、私は扇に氷を纏わせ受け止めて相殺する。


「この程度ですか?〚水弾ウォーターバレット〛!」


 私の放った水弾が先輩の鳩尾に当たって蹲るが、私は先輩の顎を蹴り上げて、もう1度水弾を鳩尾に撃ち込んだの。


「ゲボォ……オェ……まいっ」

「ん?〚水玉ウォーターボール〛」


 嘔吐した後に何か言おうとしてるけど、私は無視して水玉を鳩尾に撃ち込むと、先輩は後ろへ崩れ落ちた。


「ゲボォ……」


 顔が嘔吐物まみれになって気絶したみたい。戦闘不能って事で私の勝利となったの。そのまま闘場の上からセブルス先輩へ向かって『ニコッ』っと笑顔を送っておいた。


 闘場を降りると、セレン様が闘技場に戻って来たので直ぐに駆け寄る。


「セレン様、身体は大丈夫?」

「あれだけの試合をした後の人が、その言葉を言うのね。レンの治療のおかげで大丈夫よ」

「アイツが勝ち上がったら、ボコボコにしちゃうからね」

「アイツじゃ5年に勝てないわよ」


 その後も試合は続いて準々決勝進出者が決まった所で、今日の試合は終了したの。

 1年から私とスレイン様が勝ち残る快挙を成し遂げたんだよ♪


『ガチャ…〘創成魔法〙Rank SS』

※魔術理論を構築して新たな魔法を創成する能力。

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