第30話 魔物討伐のクエスト

 今日からミスティーク先生が、私のパーティー【希望の光】に加わって魔物討伐のクエストへ向かう日なんだよ。本格的な魔物討伐のクエストへ向かうから、ママは朝から心配そうな顔をしていた。


「ママ、大丈夫だよ♪ミスティーク先生はとっても強いんだからね!今日は私の攻撃魔法の様子見だから、いつも倒してるオーク討伐なんだからね」

「うん、確かにそうよね。でも、無理だけは絶対にしちゃ駄目よ約束だからね?」

「うん、判ってるよ♪じゃあ、討伐へ行ってくるね。ママ、大好き愛してる♪」

「ママもセレンが大好きで愛してるわよ♪」


 いつものハグを交わしてから家を出る。


 魔物討伐のクエストへ向かう前に冒険者ギルドへ寄って、ミスティーク先生を【希望の光】へのパーティー登録をしたの。そして掲示板で魔物討伐のクエストを確認すると、掲示板に残ってる討伐依頼は1つだけだった。


【オーク討伐】

・カヴィア町東の牧場

・オークの襲撃による家畜の被害が多数報告。

・オークの討伐1体につき銀貨10枚


「ミスティーク先生、これが塩漬け依頼ってやつなんでしょうか?」

「そうだと思うよぉ。ここまで報酬が少ないと、誰も依頼は受けないからねぇ」


 報酬を支払う余裕もない程に困ってるのかと思ったし、攻撃魔法の練習なので儲けは度外視しても良いのかと思ったの。


「私は、困ってる人が居るなら助けたいと思ってるんです。この討伐依頼を受けちゃダメですか?」


 私が塩漬け依頼を受けたいと言うと、ミスティーク先生は『パッ』と明るい表情になった。


「これは嬢ちゃんの魔物討伐の練習なんだ。報酬の事は気にせずに受ければ良いんだよぉ」

「じゃあ、この討伐依頼を受けたいと思います」


 パーティーメンバーも討伐依頼を受ける事を了承してくれたので、私は掲示板から依頼書を剥がして受付カウンターに行った。同時にミスティーク先生のパーティー登録書と依頼書を提出する。


「おはようございます。【希望の光】へのパーティー登録と、この討伐依頼を受けたいので手続きをお願いします」

「はい、確認させてもらいますね」


 そう言って、受付嬢は渡した書類をカクニンすると少し驚きながら返事をした。


「【希望の光】へのパーティー登録と、討伐依頼の受諾ですね。塩漬け依頼を受けて頂き感謝します」

「いいえ、困ってると思ったので当然の事です」

「セレンさんは、冒険者の鏡ですね♪」


 受付嬢からそんな事を言われたけど、困ってる人がいれば助けるのが冒険者だと思っていたのて、報酬が少ないから依頼を受けないなんて、何とも世知辛いよね(汗)


 討伐依頼の受諾を済ませた後は、冒険者ギルドを後にしてカヴィア町の東にある牧場へ出発したの。

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