　ポロ町のある場所で冒険者ギルドの受付嬢と冒険者養成講座の講師ダレンが話し合っている。

「ダレン、お前はあの娘の事を全く知らなかったのか？」

　怒気を纏わせながら受付嬢【マリー】はダレンに問い詰める。頭を掻きながらダレンは答えた。

「当時は下っ端だった俺に判る訳が無いだろ……あの娘事を姉貴から聞いて驚いているんだよ」

「そうか、私はセレン様の姿を見た瞬間にカルメンお嬢様の娘だと気付いたよ。このポロ町にカルメンお嬢様は居られたんだね……」

　その言葉の後、マリーは感極まって涙を流す。

「なぁ姉貴よ、カルメンお嬢様に接触する事なんて可能なのかよ？」

「判らないが、セレン様を通してお嬢様の住まいへは近寄れるかも知れないね。問題は【影】だな」

「【影】は聖帝直轄の特殊部隊だろ？俺達、護衛騎士団が王国の蛮行に関与したと知っている。そんなに簡単に近寄れるとは思えねぇよ……だが、俺達はカルメンお嬢様にたどり着いたんだな……」

「あぁ……私は護衛騎士団の蛮行を止める事が出来なかった。それでもカルメンお嬢様の赦し得て、聖女【カルメン.Z.シルヴァニア】様の剣としての務めを全うしたいんだ」

「だがよ、セレン様はシルヴァニアの事実を知らない筈だ。俺達がカルメンお嬢様とご一緒すると不審に思われて真実を知ってしまう危険があるぞ？」

「セレン様はとても利発な方だったな……そこはお嬢様の判断次第だよ。赦しを得て傍に置いてもらえるならば、剣としての務めを全うするし、裏切り者と言われ『死ね』と言われれば私は従うさ」

「【聖都シルヴァニア】最後の希望である御二人が生きてると判った事と、居場所を知る事が出来たのは僥倖だな」

　セレンの母の秘密を知る2人が密かに接触を試みようとしていた。この2人が善なのか悪なのかも判らないが母に接触する事で何かが動くのだった。

　そしてセレンが母の真実を知る事になるのはまだ先の事になるのが、セレンの身の回りが大きく動きだしたのだった……

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