第6話 手当のお礼
おばあちゃんがどら焼きを買う事を約束させた翌日。私は学校に行っていました。なぜなら、元々入学式の翌日は、登校日だったのだ。
だから、ついでにどら焼きを持って行った。昨日約束して今日届くのはおかしいと思ったけれど、もう気にしない事にした。
「おはよう、花澄。昨日あの後大丈夫だった?」
「鈴ちゃん、おはよう。別に大丈夫だったよ?」
「それなら良かった。ところでその袋は?」
「昨日賢くんに手当をしてもらったからそのことを話したら、おばあちゃんが持たせてくれたの」
「ふーん、なるほどね。……って、これきねやのどら焼きじゃない?!花澄のおばあちゃんまた知り合い増えたの?!」
「あぁ、そうみたい」
「何の話をしているんだ?」
「あっ、北村。花澄がきねやのどら焼きをもらったって話だよ」
「快晴くん。今鈴ちゃんが言った通りだよ」
「は?!きねやのどら焼きって、金持ちに人気なんだろ?!そんな物貰えるってどんな幸運詰んだんだ?!」
「うーん、私のおばあちゃんが話しかけたら仲良くなってそっから気がついたら物を貰える程仲良くなってるから分からない」
「つまり?」
「花澄のおばあちゃんは、スーパーおばあちゃんなのよ。かなり話をしてなかよくなったら物をくれるから……。かなり特殊なおばあちゃんよ」
「そんなに言わなくても事実だよ」
「すげぇんだな、藤堂のばーちゃん」
「ところで、それ誰にあげるんだ?」
「手当をしてくれた賢くんと運んでくれた快晴くんに。想像以上にあるからね」
「ほんとだ。たくさん入ってる」
「でしょ?」
「俺にも?!さすがに運んだだけでそれは……」
「いいから、貰って」
「あぁ、ありがとう?」
「じゃあ、私賢くんにも渡してくる」
そう言って私は教室を探し回った。1分くらいで見つかった。私は賢くんの近くに行きたかったけど、友達と話をしているようだったので、話しかけなかった。
時間がたって放課後。私は賢くんを呼び止めてお礼を渡した。
「賢くん!これ、手当のお礼。ありがとう!」
「お礼は用意しなくても大丈夫です。しかし用意してもらったからにはもらいます」
「はい、どうぞ」
「……きねやのどら焼き?」
「うん」
「きねやって、あの高級どら焼きのきねや?」
「うん」
「え……。藤堂さんこれが何個入っていると思ってるの?」
「10個だね。快晴くんにも同じ数渡したから大丈夫だと思うよ」
「そういう事じゃなくて、相当な金額になるんじゃない?!大丈夫なの?!」
「そうだね。まぁ、おばあちゃんがもらった物だから大丈夫だと思うよ」
「藤堂さんのおばあちゃんがもらった?どういう経緯で?」
「何かおばあちゃんがきねやの会長の奥さんとお知り合いって事で相談したら貰えたよ」
「そうなんだ……。すごいね、藤堂さんのおばあちゃん……」
「って言うか、敬語!外せてるじゃん!」
「は?敬語?」
「賢くんいつも敬語だったけど、今思いっきりタメ語で話しているよ!いつもその調子ならいいのに」
「あ。ああー、そういう事ですか。敬語はお好きではないと?」
「いや、個人の自由でいいけれど、私的に違和感!敬語が話しやすいなら敬語でいいけど賢くんの場合、敬語が話しにくそう!」
「そうですか?」
「そうだよ!決めた。私、卒業までに私の前では敬語外してもらう」
「え?」
「覚悟しておいてね!賢くん!」
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