第35話 プレゼント選び
ショッピングモールに到着する。平日なので休日ほど混んではいないが、家族連れや学生たちがちらほらと見える。
「さぁ、まずは・・・」
朝宮に連れられてとある店に向かう。陽キャ専用に見えるが最近は色々な人が使っている事が多い、有名なコーヒー喫茶店に入る。
「さぁ、飲もう〜!!」
「ビールでも飲むつもつか?」
「な!現役女子高生にビール飲ませる気?」
「朝宮の発言を第三者視点で見るとそう見える」
「・・・それじゃあ、一緒にビール飲む?」
「嘘嘘、ごめん」
列に並び、ドリンクを注文する。朝宮は呪文を唱えるかのようにドリンクを注文するが、波原はわかるわけもなく朝宮のオススメを選択してもらう。
店員からドリンクを受け取り、席に座る。
「それで、プレゼントあげたいの?」
「そう」
「珍しいね〜みなちゃんがプレゼントなんて」
「感謝してるし、頑張ってたのに何もしないのは可哀想じゃない?」
「それでプレゼントか〜。いいんじゃない。プレゼント貰って嬉しくない人はいないよ」
ドリンクを一口飲むと再び口を開く。
「深くは聞かないけどさ、どういう関係?」
「それを一般的に深く聞くと言うんだよ」
「何〜、私とみなちゃんの間で隠し事なんて許さないぞ〜」
向かいに座っている朝宮ニヤニヤしながら足で波原の足をコツコツと蹴る。
「やめろよ、痛いぞ」
「嘘つき〜、靴も脱いで優しく突いてまーす。言わないとずっとするぞ〜」
朝宮の言う通り、靴下越し蹴っているので全く痛くない。しかし、このままは鬱陶しいので波原も口を開く。
「前も言ったけど、学校で唯一の友達。勉強教えて貰ったし、学年8位だったからお祝いぐらいしてあげたい」
それを聞いた朝宮は蹴るのやめた。再びドリンクを飲むと、嬉しそうに口を開く。
「そっか〜、いい友達でよかったね〜。私達がいないから心配だったけど、私なんか嬉しい〜」
「お前は保護者か」
「いや、私達は幼馴染だよ」
「珍しくボケたから乗ってくれ。ただの恥ずかしい人になる」
「ワロタ」
「ワロタじゃねー」
一瞬朝宮の足を蹴ろうと考えたが、流石に素足を蹴るのは申し訳ないのでグッと堪えた。恐らく中学生の頃なら蹴っていただろう。
「それじゃあプレゼント決めますか〜」
「朝宮はどんな物貰ったら嬉しい?」
朝宮は顎に手を当てて考える。
「そうだね〜、嬉しいけど貰ったら困る物は嫌だな〜。お花とか」
急にお花を渡されると確かに困る。嬉しけど、飾る場所と花瓶も必要になり時間経過で枯れてしまう。
「それじゃあ小物とかの方がいいかな?」
「そうだね〜、文房具や小物は基本的にハズレなしだね」
「じゃあ、それ路線でいこうかな」
「オッケー、じゃあ雑貨屋にGO〜」
ドリンクを飲み干した後、雑貨屋へ向かった。
イヤリングなどのアクセサリー、スマホの周辺機器、ちょっとした美容品、キーホルダーなど沢山の種類が売っている。
「見てみて、この猫ちゃん可愛くない?」
入店して直ぐに大きな猫のぬいぐるみを持ってくる。朝宮に抱かれていて、朝宮とセットでとても可愛らしい。
「デカイな、抱き枕に丁度良さそう」
「この子はウチの子にします」
更にギュッと抱き抱えて猫のぬいぐるみが少し潰れる。
「やめてあげて、猫が潰れそう」
「あ、ごめんね〜」
猫の頭を優しく撫でる。朝宮は行動一つ一つが意識している訳でもないのに、可愛らしく惹きつけられる。
「値段は?」
「えっとね〜・・・」
ぬいぐるみの値札を探して確認する。
「12000円」
「高いな、今どのぐらい持っての?」
「7000円・・・。この間の新スキン買ってしまったから買えないんだよ〜」
全長1メートルはある為、値段が12000円するのも頷ける。
「せめて、店出るまでは猫ちゃんは私が守る」
「誰も攻めてこないぞ」
ぬいぐるみを抱き抱えたまま、色々と雑貨を見る。
「マグカップはどう?日常的に使うし」
「確かに、それありかも」
マグカップを色々見る。案外安価で種類も沢山ある。
「悩むな、実用性と見栄えが良い物がいいな」
「沢山悩んでね!その分この猫ちゃんを堪能するから」
30分ぐらいマグカップゾーンを歩き回り、熟考する。そして最終的に決定した。
「ありがとう決まったよ」
「そっか、じゃあ猫ちゃんともお別れか〜」
朝宮は寂しそうに猫のぬいぐるみを元の場所に戻した。
「店の前で待ってるね」
「わかった」
レジに並ぶ前に小さい猫のぬいぐるみもカゴに入れた。
波原も会計を終わらせて、店を後にした。ガラス張りの壁にもたれながら、俯いている。
「お待たせ、会計終わったよ」
「うん、お疲れ〜」
「後これプレゼント」
朝宮は波原から袋を渡されて中身を確認する。
「!!」
中には先ほど朝宮が抱き抱えていた猫の小さいぬいぐるみが入っていた。
「さっきの猫ちゃん!くれるの⁉︎」
「お礼だよ。その猫、気に入ってたでしょ」
「ありがとう〜!!一瞬ときめいたよ!」
「ときめくな咲夜いるだろ」
「みなちゃんならいいよって言ってたよ」
「咲夜、僕に緩すぎ」
「それだけ、信用してるんだよ」
小さなぬいぐるみを腕で可愛らしく抱えて微笑んだ。
「大切にするね、みなちゃん」
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