エピローグ
あたしと夕は高校に入学した。
今年の桜は開花が遅く、入学式の頃もまだまだ見ごろだった。
そんな桜が咲くなか、あたしと夕はクラス分けを見ていた。
「温海ちゃんと一緒のクラスだといいな~」
「あたしも一緒のクラスがいいけど、こればかりはね」
「なんか見るのが怖いよ~」
「大丈夫だって」
「代わりに温海ちゃんが見てよ~」
「もう、仕方が居ないわね」
夕は大胆な所があるけど、合格発表の時といい、こういう場面は意外と怖気つく。
でも、これはこれで、何時もは夕に押され気味のあたしが優位になるから嬉しいけど。
張り出されたクラス分けを見ると、飯塚夕の下に大牧温海と合ったので同じクラスであった。
「夕、同じクラスだわ」
「本当?」
「自分で見なさいよ」
夕が自分で確認すると、夕の下にあたしの名前があるって喜んで抱きついてきた。
「よかった~温海ちゃんと同じクラスになれたよ~」
「もう、人がいる所で抱きつかないでよ」
「ごめんね、つい抱きついちゃって」
「別にいいわよ」
口ではこういうが、本音はとっても嬉しい。
ただ、人の目があるから自重してるだけなんだけど。
「同じクラスでよかった~。それじゃ、教室へ行こうね~」
「うん、そうね」
あたしと夕は自然に手を握り、校舎の中へ入っていた。
「ふふふ、いいもの見せてもらいましたよ」
わたしはいい物を見て思わず口に出てしまったが、あの2人には百合カップルに違いない・・・多分。
ただ、百合カップルじゃなくて、会話の内容と自然に抱きついてると所から付き合いはそれなりにあって、仲がかなりいい事は確か。
つまり、早くも百合カップル候補を見つけた訳だ。
わたしは川奈文乃、百合を愛する女の子。
わたしがこの学校に来たのは・・・この学校は百合カップルが多いからと聞いたからである。
この学校は元はお嬢様女子校で全寮制だった。
今も県外から来る生徒が居るので、寮はあるけれど全体の9割は自宅通学。
3年前に男女共学となったが、男子はまだ全体の2割で校舎も別となっている。
つまり、共学だけど実質女子高と変わらないのだ。
しかも、女子高時代から百合カップルが多いと有名な学校で、共学になった今でも
沢山の百合カップルを輩出しているという。
なので、百合を愛する者としはこの学校に入学するのは義務なのだ。
ただ、受験はかなり大変でギリギリで入学できたけど。
だがしかし!苦労しただけあって、入学初日から百合カップル候補を見つけられたのは幸先が良い。
「そろそろ予鈴が鳴るので、早くクラスを確認しするように」
おっと、百合カップルが居ないか観察してて、自分のクラスをまだ確認してなかったから早く見ないと。
クラス表を見ると、大牧温海の2つ下に川奈文乃という名前があった。
そういえば、さっきの「あつみ」って言ってたけど、温かいい海って書いて「あつみ」かな?
スマホで打ち込んで調べたら、どうやら「あつみ」と読むらしい。
って事は、あの2人と同じクラスって事か、なんたる僥倖。
ああ、神様、一生懸命勉強した甲斐がありました、ありがとうございます。
わたしは入学早々、幸運に恵まれ、わたしは軽い後取で校舎の中に消えて行ったのであった。
〈完〉
百合に女の子が挟まるには百合カップルが必要です しいず @shiizuu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます