第2‐2話5月4日その2

 夕との待ち合わせの駅前に到着したけど、約束の時間の10分前に到着した。

私は足が遅いから家を早めに出たけど、家から駅まで1度も赤信号にならず順調だったから予想より早く着いた。

駅前にはまだ夕の姿はなかったけど、待ち合わせは駅前と言ったけど、南口と北口どっちかちゃんと言っていなかった。

あと連絡先を交換していなかった事も今になって気づいた。

とはいえ、地方の小さい駅だし、同じ学校と言う事は北口側になるので北口で大丈夫と思う。


 駅前にあるベンチに座って待っているけど、もう少しおしゃれしても良かったかな。

いやいや、家に遊びに来るんだからこれでいいし、むしろ普段の姿を見せた方がいいかも。

ただ、夕の制服姿以外の姿を見るのは楽しみ。

だって、制服を着ててもあの胸が目立つのに、私服になったらって思うとね。

自分の胸はぺったんだけど、年齢を考えればまだまだこれからだよね。

お姉ちゃんも私の頃は変わらないぐらいだったけど、高校生になったら一気に大きくなったのでチャンスはまだあるはずだし。


 こんな事を考えながら待っていると、時間より5分程遅れて夕がやって来た。


「ごめんね、ちょっと遅れちゃった」

「別にいいわ、私も時間ピッタリに来てたから」

「温海ちゃんの事だから、本当はもっと早く待ってたでしょ~」


付き合い(友達として)始めて1か月程なのに、学校では常に一緒だから夕は既に私の事がわかってる。

わたしは歩くのが遅いから何時も早めに行動してるから、夕も早く来た事はわかってそう。


「家を早めに出たら思ったより順調だったから、早く着いただけだわ」

「あ、やっぱり早かったんだ~。わたしはゆっくりご飯食べたら遅くなっちゃったよ~」


  夕の場合、鎌をかけたというより、天然といった方がいいかな。

ただ、それが結果的に鋭い事がおおいから、天然でおっとりキャラだけど隠し事はしない方がいい気がする。

あと、夕は食べるのが遅いから、ご飯を食べて遅くなったというのも本当。


「それじゃ、家に案内するわ」

「うん、お願い。温海ちゃんの家ってお金持ちだからメイドさんがいたりするのかな」

「普通より大きな家だけど、メイドなんていないわよ。時々、掃除の業者が来る事はあるけど、普段は私かお姉ちゃんが家事や料理をやってるわ」

「え~そうなんだ~。お嬢様キャラだからメイドさんがいると思ってたんだ~」

「あんなの創作の中だけだって。居たとしても、うちよりもっとお金持ちだわ」


 お嬢様キャラ=メイドがいるってイメージがあるせいか、必ずメイドがいるか聞かれるが

居ないと答えるとなぜがっかりされる。

嫌味に聞こえそうだけど、うちはお金持ちである事は間違いないけど、大金持ちって訳じゃない。

人を雇うのは思てる以上にお金がかかるから、そうそう雇えもないのが現実。


「そうか~メイドさんに会えると思ったのに~」

「メイドどころか、今日は家族もいないから2人だけだわ」

「それってもしかして~そういうことかな?」

「深い意味はないわよ」


 夕がどんな事考えているかはわからないけど、決して誘ってない。

いや、家に来るように誘ってはいるけど、そういう意味で誘ってないっていうか

ああ、もう、私は何を考えてるんだ、今日は家で勉強する・・・ってよく見たら夕は勉強道具を持っているように見えない。


「夕、勉強道具は?」

「あ、温海ちゃんの家に行く事が嬉しすぎて勉強のこと忘れてた~」

「まったく…忘れたなら仕方がないわね」

「ごめんね~」

「別にいいわよ、今日は私の家に呼ぶ事が目的だったから」

「それってつまり~最初からそう言う事だよね~」

「どんな事かわからないから、それは違うわよ、多分」

 

 夕の言う事が何を意味してるか分からないけど、夕って意外と積極的かも。

初めて会った時もそうだけど、いきなり付き合ってくださいって言われたし。

私をどうやって知ったか気になるけど、去年の事以前から私はそこそこ有名だったから

夕が事前に知っててもおかしくないし、私と同じくら女の子が好きって言ってた。

でも、夕が何で私を好きになったかは気になる。

聞いたら教えてくれるかわからないけど、勉強する代わりに聞いてみようかな。

答えてくれないかもしれないけど、きっと夕なら教えてくれるよね、きっと・・・。


 家について自分の部屋に夕を案内する。

私の部屋は大小のぬいぐるみが沢山あるけど、キャラに合わないかな?

ちょっと目じりが上がってるせいか、目つきが良くないと言われる上に、話し方と態度が

サバサバもしてるせいもあってきつい感じがするとよく言われる。

でも、本当は寂しがり屋でネガティブになりやすい。

落ち込んだ時は5歳の時におばあちゃんに買ってもらった大きなクマのぬいぐるみを抱くと落ち着くし

このぬいぐるみは夜も抱いて眠っているけど、これがないと寝れないのは内緒。


「温海ちゃんのお部屋ってぬいぐるみがいっぱいだね~」

「私は小さい頃からぬいぐるみが好きなの」

「そうなんだ~。わたしはぬいぐるみは1つも持ってないよ~」

「そうなの?夕はぬいぐるみ好きそうに見えるけど」

「実はそうでもないんだ~。どっちらかと言うと、パソコンでゲームをするのが好き~」

「そうなんだ」


 夕はパソコンとかは苦手に見えるけど、パソコンでゲームをしてるだ。

あれかな、ブラウザゲームっていうのかな?

簡単なゲームが多いみたいだから、夕らしいかな。

私はゲームは全くやらないけど、アニメや漫画、ラノベが好き。

見るのはジャンル問わずだけど、おっぱいが大きい女の子がでるラブコメが特に好きな事は夕にも黙ってる。

でも、本棚を見たらすぐばれるから、この際知っておいてくれた方がいいかな。

本棚の本は全部お兄ちゃん達の部屋から持ってきたもので、私が買ったものでないけど。


「どんなゲームをしてるの?」

「最近は戦車で戦うゲームかな~。FPSをやってたけど、わたしの反応速度が遅くてすぐ負けちゃうから最近はやってないんだ~」


あれ、思ってたゲームとなんか違う。

って、FPSってなに?あと、戦車で戦うゲームって夕のイメージと全く違うんだけど。


「FPSって何?」

「ファーストパーソン・シューティング、1人称の目線でやるゲームだよ」

「シューティングって事は、銃を撃つゲームなの?」

「うん、そうだよ~。ネットで世界中の人と対戦できるけど、さっきも言ったけど~わたしは反応速度が遅くて、全く勝てないんだ~」


 夕の見た目から予想できない話が出てきて意外すぎる。

今日の服装はピンクのフリフリのワンピースで、制服の時よりも胸が目立って

女の子らしいのに、言ってる事は戦車や銃で戦うで正反対。

おっとりキャラだけど、ゲームをやったら人格が変わるとかなのかな。

夕が叫んでいる姿を一度見てみたいけど…暴言を言ってたら嫌だからやっぱり

天然でおっとりしている夕が私はいいな。

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