第7話 蠱毒の少女 狂気は何処から?



10年ぶりに故郷の村を歩いていた……


夕暮れの参道を越えて……


あの人と歩いたこの道を……


田舎の田んぼ道


娯楽のない村で……妹とあの人が居た


この道を……


あの頃は幸せだった


二人がいて、私がいて……いつかこの村から出て都会に行く話をしていた


夢のような話を……3人で暮らしていこう……


そんな話をしていたのに……


私は実の妹を殺してしまった……


あの人を奪われた嫉妬にかられ……


自分の姪の人生を狂わせてしまった


なんて自分勝手な罪を犯したのだろうか?


なんでこんな事をしてしまったんだろうか?


いま考えても……わからない……


ただ……不幸になってしまえ……


そう思っていただけなのに……


頭に霞でもあるかのように……思い出せない……


私はどうやって妹夫妻の家を……姪の居場所を知る事ができたんだろうか?


わからない……だけど……だけど……


たった一つ……私は……復讐をなす事ができた



この夕暮れに満たされた私の心


奪った奴も奪われた奴も……この世には居ない……


私は……本当に満たされたのか?


そんな疑問が過った瞬間……


頭にあった靄が晴れる


罪悪感が……心を埋め尽くす!!!!!


体を蹲らせ……口から大量の吐瀉物を吐き出す……


狂ってる……狂ってる……狂ってる……


なんで私はあんな事をしたんだろう!?


早く自首しなくては!!!!!


こんな所にいるべきじゃない!!!!!


早くあの子にも謝らなくちゃ!!!!!


許してもらえなくても良い……


一生かけてでも償いを……

そこまで考えて……私は一つに疑問に触れた


そう言えば……私はなぜ村にいるのだろう?


この村は数年前に……


廃村になったはずなのに……


顔を上げる……


そこで……私はある違和感に気づく……


いつから……この夕陽に照らされていた?


それを理解した時……私の背筋に悪寒が走る


ああ……


ああ………


夕焼けが……沈まずに……私を照らす……


ああ……


ああ………


一人だけの田んぼ道……



沈まない夕陽が私を照らしていた……



私は何処にいるのだろう?


ただ……わかる事は……


私はあの子に……謝る事はもう出来るないのだろう


この夕陽が沈まない田んぼ道を永遠と彷徨い続けるのだろう……

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笹本真・出島Aの怪異奇譚 @kisaragikanoto

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