第4話 コドクの少女
制御不能B-END
俺は女医に引っ張られてナースステーションに連れてこられた。
そして、椅子に座らせられると
「いいか!あの子の吐瀉物には、いろんな害虫があった!ろくな物を食べていないんだ」
女医が俺にそう話しかける
俺は医者の名札を見て出島(デジマ?)と名前を見て
「出島先生は、昆虫食に対しては否定的なのか?昔の人間は平気だったんだろ?」
俺はめんどくさく言うが、医者は首を横に振る
「昆虫食が一部の民族で行われていたのも知ってますが……いえ、戦時中では一般的な物でした。
ですが……吐瀉物を調べた所、あの子の食べた害虫ってのは、毒性の高いものだった……具体的に言うとムカデや毛虫やその他諸々だ!」
出島先生は、デスクを強く叩き
「まったく!子供になんて物を食わせるんだ!」
本気で怒っていた。
俺は誘拐されてから、常にムカデを食べさせられるのを想像しただけで、口の中に苦くなった
「あーあー、俺が悪かった」俺は両手を軽く上げて謝ったあと、さっきの子供には悪いことをしたと思った
俺の態度に納得したのか、出島先生は力を抜き
「とりあえず、これからは心のケアもしていき……」
“ビービー”
突然ナースコールが鳴り、先生はコールの押された部屋を見て言葉を止めた
それは、俺がさっきまで居た病室……あの子供の病室だった!
一応、部下に警備を頼んでいたが……何が起きて
「うわぁぁァァァァァァ!」
男性の悲鳴?いや、これは威嚇?とりあえず、なにか荒事が起きている!
「とりあえず、行きましょう……刑事さん!」
出島先生少し考えてから、刑事さんと言ってきた
「ああ、笹本だ、改めてよろしく頼むよ!」
俺は女医の前に走りでると俺の部下が病室の前で戸惑っていた
「おい!何があった!」
俺は部下に問いかけるが……
「誘拐された少女に両親が来て……あっ……ああっ……」
顔を青くして、病室を指差す
俺はその指に先をゆっくりと見ながら、さっきまで気づかなかった……嗅ぎ慣れた血の臭いに……気づいた……
そこには……首を噛まれ口から白い泡を吐く女と……腕を噛まれ、同じように泡を吹いて倒れた男と先程までなかった目元に大きなあざと口を真っ赤な血で染めた子供が立っていた……
その表情は……恐怖に怯えた犬の様な姿だった
そして、俺に気づくと……体を縮こませると、全身を一気に伸ばして飛びかかってきた
「ガァァァァ!!!!!」
あの子供は、明らかに取り乱していた
取り押さえるか?迎え撃つか?
そう考えたが……子供を殴る事が俺には出来ず……
噛まれる覚悟で受けようとした
だが!襟首を掴まれ……
「笹本刑事!離れて!」
後ろに引き倒された直後、俺の腕があった場所に娘の歯が空を切る!
だが、避けた際に口から唾液が俺の腕に当たった瞬間
「グッ!?」
火傷をしたかの様な痛みが走るが……出島先生が、素早く服に袖を破くとそれを拭き取る
「なっなんだ!?」
急に走った痛みに俺は驚くが……
先生は俺の様子を見て何か納得した表情をしていた
そして、混乱している俺を他所に、白衣を脱ぎ左腕に巻くと……一度攻撃を避けられたことから、警戒していた娘に近づくと、再び襲いかかってきた娘の口に左腕を押し込む!
そして、その首筋に、いつの間にか持っていた注射を打っていた
そして、数秒抵抗する様に蠢いた後、娘は動かなくなった
「出島先生……ヤッタのか?」
「いいえ、ただの鎮静剤よ……効いてよかったわ」
先生の顔が青くなっていた
「もう無理……」
そう言うと、先生は娘の口から左手を抜くと、すぐに巻いていた白衣を投げ捨てたが、白衣から強烈な臭いがした
「なんだこの臭さ!」
俺は思わずそう言うと出島先生は顔色は優れないが
「私の臭いではありませんからね!」
と言って俺の足を蹴った
軽い衝撃だったから、なんともなかったが、逆に俺を蹴った先生が蹲り顔を顰める
「そんな事より、アレはなんなんだ」
唾が触れただけであの痛みは異常だった
「ああ、笹本刑事は蠱毒って知ってる?」
「こどく?1人っきりと言うわけじゃないよな?」
俺の発言に出島先生は呆れていた
「それは孤独であり、私が言っているのは蠱毒
毒虫を競わさせて、生き残った1匹を使って呪う呪術よ」
「呪術?医者が何言ってんだ?オカルトとか……
冗談だろ?」
「はぁ……私に趣味よ……それより、そこをどいて」
先生はそう言うと、左手を洗い始めて、
そこで先生の左腕が赤く腫れていることに気づいた
直接触れたわけじゃないのに……こんな状態に!?
「普通に考えて、毒虫を食べたから毒を持つとかあり得るのか?いや、その状態を見たら真実なんだろうけど……」
って!!!!!そんなことしている場合じゃない!!!!!
俺はすぐに倒れている泡を吹いている2人に近づこうとしたが……2人に近づこうとしたが……
チクリッ
首筋に何かが刺さる感覚がしたかと思うと意識を失った
そして、目が覚めると俺はベッドに寝かされていた
「起きましたか?」メガネをかけた医者が俺に話しかけてきた
「何があったんだ?」
頭痛がしてうまく考えがまとまらない
だが、医者は俺の言葉に
「それは、私が聞きたい!君は発見されたのは、行方不明の少女の病室だったんだが……
何があったんです!病室には血痕があったのに
あなたとその部下が倒れていた」
確か……自分部下以外に4人いた気がするが……
ズキッ
頭痛が激しくなる……考えがまとまらない
だけど、この痛みは何かがあると俺の感が言っていた
考えるんだ……俺以外に誰が……いる?
悲鳴が聞こえる……向かう……部下……
「少女……少女の家族……い……」
頭痛がさらに激しくなるが……
この痛みは正解に近づいている!
そして、一際強い痛みの後……
「大丈夫かね?顔が青いが……」
思い出した!
「女医は……一緒にいた出島先生は無事か?」
俺は彼女に助けられて……そう言おうとしたが……
「出島?誰かね?」
その言葉に……俺は口を閉ざした……
いや、口が開かなかった
「ああ、すいません、寝ぼけていた」
そう言って俺は立ち上がると少し体がふらつきながらも歩き出す……
部下はまだ意識が戻っていない様だったので1日入院することになった
俺はそれを上司に連絡すると家に帰ってしばらく休む様に通達があった
仕事をしたかったが……最近家に帰っていないことを怒られる羽目になった。
俺は家に帰る前に、ビールとツマミを買い
帰路に着くが……玄関の前で家の鍵がないことに気づきポケットを弄るがない……
ああ、今日は不幸だ……そう思いながら、ダメ元で玄関のドアに手をかけると……鍵が開いていた
嫌な予感がした
俺はズカズカと家の中に入り、リビングへ向かうと電気が付いていて、TVの音も聞こえる……
俺の嫌な予感は確信に変わり!!!!!
「おい貴様!!!!!これはどう言うことだ!!!!!」
人様の家を我が物顔で使っていた女
出島に怒鳴り声をあげた
「「!!!!!!!!!!」いやー遅かったね?薬の量を間違えたか心配したよ」
そこには、ビールを飲む出島と頭を抱えてまるまっている誘拐された少女……累累(カサネ・ルイ)が居た
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