俺の母は、見知らぬ男にレイプされて俺が産まれた!

神石水亞宮類

第1話 俺の母は、見知らぬ男にレイプされて俺が産まれた!




“俺の母は、見知らぬ男にレイプされて俺が産まれた!”



俺は母親とずっと二人で生きてきた。

母親に、“俺の父親は誰なのか?”と何度か聞いた事があるが......。

母親はその話になると? 体が震え何一つ俺に答えてくれなかった。

あの時は、母親が何も言わない事は父親は病気か? 浮気でもして

家を出て行ってしまったのだろうと俺は思っていたんだ。



でも? 俺が21歳の時に母親が急に病気で亡くなり父親の事を俺は知った。

母親が父親の話をしたがらなかったのは? “母親がまだ20代前半で

夜仕事帰りに見知らぬ男にレイプされたという衝撃的な話だった。”

俺は母親がレイプされてデキた子供だったんだ!



母親は両親の反対を押し切って俺を産んだ。

子供には罪はないと一人で俺を育てる事を、まだ若い母親が決意する!

でも? 当然だが、何処に行っても“誰の子なのかと?” 聞かれたらしい。

何も言えない母親に、大抵はこう言われたそうだ!


“若い時に遊んでて子供がデキたのよね!”


母親は、気まずい雰囲気に耐えられず一人で居る事が多かったらしい。

そんな時、母親の事を気にかけてくれる男性が現れる。

俺も子供の時は、“父親のように慕っていた男性だ!”

でも? 母親はその男性と一緒になる事はなかった。

俺の事を訊かけるのが怖かったからだろう。

誰にも心を開けず苦しんで逝ってしまった母親は可愛いそうな女性

だったと俺は思う。





匠海へ。



お母さんずっと貴方に内緒にしてた事があったの。

この手紙を貴方が読む頃には私はもうこの世に居ないと思う。

でもね、お母さん! 匠海を立派な大人に育てる事が出来たと

思うの! “貴方は私の自慢の息子よ”



ココからは、お母さんが何故貴方を産んだのか?

貴方のお父さんは誰なのかを話していくわね。

私がまだ20代前半頃だったかしら? お母さん、仕事が大好きで!

毎日毎日残業でもお母さん、当時働いていた仕事が大好きだったの。

その日も一人私は残業で、足早に家に帰ろうとしていたわ。

その時、後ろから見知らぬ男性が私の後を着けている事に気づいたの。

私が振り返った瞬間、その男が私の口を塞ぎ暗闇に連れて行ったわ。


・・・その後、貴方が私のお腹の中に居る事が分かったの。

正直、私のお父さんとお母さんは貴方を産む事を反対したわ。

それでも私は産まれてくる貴方に罪はないと思い、一人で貴方を産む

事を決意したの!

誰にも頼らず一人で必死で貴方を育てるとね。

貴方は、とっても優しい子に育ったわ!


【私の自慢の息子よ。】

“貴方は胸を張っていきなさい!”


それともし? “貴方が父親に会いたいと思っているなら?”

貴方の本当のお父さんの住所を書いておくわね。

もう貴方も大人なんですもの、自分で決めなさい!


じゃあね、私の愛する息子へ 貴方を心から愛する母より。





・・・最後に母親が俺に宛てた手紙だ。

俺は何度も何度も手紙読み直した。

俺は母親がレイプされた時にデキた子供だと未だに信じられないでいる!

父親の事は、母親が生きてる間に自分で探し出したのか? 

探偵に頼んだのか?

どうやって調べたのかは未だに分からないが、確かに父親の住所と電話番号

まで、丁寧に手紙に書かれていた。

俺は父親に会うか、会わないか? 何度も悩む!

俺は父親に会ったら? 母親を襲って俺が産まれたんだと父親に向かって

言うのか?

そんな事を考えると? 急に怒りが込み上げてきた!

俺はそんな罪の意識もない父親の血を引いているのだ!

母親は本当に心の強い女性だったのだと今更気づかされる。

好きでも何でもない男、それどころか恨んでもいいぐらいの男との間に

俺がデキたんだ!



・・・当時、母親だってまだ若く! 淡い恋心を抱いた男性の一人や二人

いたに違いない。

夢や希望を抱いた少女がまさか? そんな目に遭うなんて!?

きっと手紙には書かれていなかったが、大好きだった仕事は俺がデキた

事で辞めたか? クビになったと思う。

全て俺のせいじゃないか! 俺のせいで母親の人生は無茶苦茶になった。

それなのに、無償の愛情を俺に母親は注いで育ててくれた。

俺はそんな母親の想いも受け止め、父親に会いに行く事に決める!




【ピーポーン】


『はーい、どなた?』

『誰か来たのか?』

『越部博人さん?』

『・・・あぁ、そうだけど。』

『この女性に見覚えはないか?』

『・・・・・・』

『誰?』

『お前は部屋の中に入ってろ! 少し外で話そうか。』

『えぇ、いいですよ。』





 *




『随分、大きくなったんだな。』

『アンタ!』

『“お母さんは元気なのか?”』

『3カ月前に、病気でなくなったよ。』

『・・・そ、そっか、お前の母さんには本当に申し訳ない事をしたと

反省してるんだ、本当にすまない!』

『今更、俺に謝っても、アンタが母さんに会って直接謝ってほしかった。』

『・・・何度か? 会って謝りたいとお前の母さんに電話で言った事がある

が、俺とは二度と会いたくないと断られたんだよ、あの時の事がフラッシュ

バックのように思い出されるからとな。』

『そりゃそうだろう! まだ若い女性がそんな目に遭ったらよ!』

『“オレを殴るか?”』

『・・・えぇ!?』

『それでお前の気がすむなら、オレはいいぞ。』

『気はすまない、俺はお前を殴らない! そんな事は死んだ母さんは

絶対に望んでないと俺は思うから。』

『お前の母さんは、お前を本当に立派に育てたんだな。』

『なんだよ! 泣いてんのか?』

『俺な、あの後バチが当たったのか? 女遊びは相変わらずだったんだが、

子供は付き合ってた女や嫁にもデキなかったんだ! 皮肉だが俺の遺伝子を

受け継いだのはお前だけなんだよ。』

『“本当に皮肉な話だな。”』

『またお前がいいなら、会えないか? たまにでいい、会ってお酒でも

飲んでさ。』

『悪い! 母さんに申し訳ないからそれは......。』

『そっか、でも何処に居てもオレはお前の親父だから、なんかあったら?

オレに頼って来てくれよ。』

『・・・・・・』

『じゃあな、オレの嫁が寂しがるから行くわ。』

『・・・あぁ、でもアンタに会えて良かった。』

『オレもだよ、じゃあな。』

『・・・あぁ。』




・・・なんやかんや俺は父親と会えて良かったと思えた。

父親は俺の事を、ちゃんと憶えててくれていたし。

何より、“母親に対して心から悪い事をしたと反省していた。”

あんな父親でも、“俺の半分はあの父親の血を引いている。”

これでやっと俺も“胸を張って生きていく自信が少しはできたかなと思う。”

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俺の母は、見知らぬ男にレイプされて俺が産まれた! 神石水亞宮類 @kamiisimizu-aguru

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