第6話 許せない

横山と三日月。

そして龍騎と奏多。

色々な奴らに接触しながら思った事は。

何故こんなにも差があるのか、という点だった。

まるで天地の差だ。


俺はそんな事を考えながらそのまま眠りについてから翌日になる。

それから降りて行くと.....何故か横山が居た。

俺を見上げながら、お早う御座います、と言ってくる。

何をしているのだコイツは?

奏多と一緒に何か作業をしている。


「昨日は有難う御座いました」


「.....?.....何もしてないぞ?」


「いえ。一緒に話をした事に有難う御座いました」


「.....お前はアホか?それで来たのか?」


「そうですよ」


「何じゃそれ.....」


俺は額に手を添えながら盛大に溜息を吐く。

それから横山を見る。

横山は、まあまあ良いじゃ無いですか。理由は。.....ちょっと恥ずかしいので先輩のお部屋までは行けませんでした、と照れ笑いをする横山。

その姿を見ながら、変な奴、と苦笑いを浮かべつつそのまま用意を始める。


「先輩」


「どうした?」


「目玉焼きを作ります。.....半熟が良いですか?私が良いですか?」


「何?それって引っ掛け問題?」


「あちゃー。ばれちゃいましたか」


「いや。バレるだろ。どういう問題だよ」


俺は顔を引き攣らせながらタオルで顔を拭く。

すると横山が、にしても女子の前で上半身裸とは根性ありますね。.....しかも鍛えていますねぇ、とニヤニヤしてくる。


そういえば上半身裸だったな。

思いながら俺は、いや見るなよお前、と言う。

横山は、気にしません、とニヤニヤする。


「.....先輩の裸なんて滅多に見られませんしねぇ」


「まあそうだけどな。.....だから見るなって」


「嫌です。焼き付けておきます」


「お前な.....」


俺はまた盛大な溜息を吐く。

そして、冗談です。ではでは戻ります、横山は去って行く。

その姿を見送りつつ俺は用意をした。

そうしているとインターフォンが.....鳴る。

ん?こんな朝早くから.....、と思っていると、私が行きます、と声がした。


「.....?」


厳しい声だった。

俺は慌てて上着を着てからそのまま玄関に向かう。

すると.....そこに三日月が立っている。

俺達を見ながら驚きの顔をしている。


「.....あれ?.....横山さん.....」


「お久しぶりですかね。.....三日月先輩」


「どうして.....?」


「さて。どうしてでしょう?.....私が先輩の家に来てはおかしいですか」


「そういう事じゃ無いけど.....私の彼氏だから.....」


どの口が、と言いたそうな顔をする。

俺はその姿を横目に、お前は何をしに来た、と話す。

すると、だから私達は彼氏彼女でしょ、と苦笑する三日月。

正直俺はもう冷めているけどなお前の事、と思うが。

だけど計画に支障が出るので何も言わないけど。


「一緒に登校しようと思ったら横山さんが居たから」


「.....そうか。.....用事で一緒に居た。疾しい事は無いから」


「そうなの?怪しいなぁ」


「.....」


お前よりマシだと思うがな、と思うが。

俺は何も言わずにそのまま厳しい顔をする。

するとその顔に気が付かない様な感じで三日月は、でも今日は横山さんが居るみたいだから一応任せようかな。私は仕事があるし、と言いながら去ろうとする。


その背中に、三日月先輩、と声を掛ける横山。

俺はその言葉に横山を見る。

横山はワナワナと震えながらも落ち着いた感じの様子を取り戻しながら、逆に疾しい気持ちは無いんですよね?貴方には、と聞く。

言葉に三日月は数秒黙る。

そしてこう答えた。


「無いよ?.....何で?」


「.....そうですか。それは.....まあうん」


顔を引き攣らせる。

横山は今すぐにでも三日月を殴りたそうな感じだったが。

俺はそれに対して、落ち着け、と耳打ちをしてから三日月を再度見てみる。

それから、三日月。お前の事信じているから、とだけ告げた。

三日月は、え?あ、うん、と返事をしてから。


「それはどういう意味?」


「.....いや。つい出た。気にするな」


しかし。

こうも三日月は平然と居られるのが不気味だな。

思いながら俺は三日月を見る。

すると三日月は、???、を浮かべていたが。

腕時計を見てからハッとした。


「ゴメン。もう行くね」


「.....」


「.....」


俺達は静かに三日月を見送る。

それから俺達は玄関からまた室内に入った。

そして横山を見る。

横山はキレた感じで、何なのあの人!、と呟く。

俺はその様子に落ち着く様に話す。


「まあその。朝っぱらからキレても仕方が無い。落ち着こう」


「キレてないですよ。.....ただ許せないだけですから」


「.....」


確かにそうだな。

何も知ってない訳じゃ無いと思うしな。

思いながら俺は顎に手を添える。

頭の中がお花畑なだけか.....?、と。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る