明日も学校に行こう!

ジョセフ

明日も学校に行こう!

 その朝、鈴木学は何度も鳴るドアベルに頭を抱えていた。鈴木は、眠い目を擦りながら玄関のドアベルに頭を抱えていた。そこに茶、学ラン姿の前田くんがいた。鈴木はどなたかと訪ねた。そして、その元教え子は恥ずかしそうに口を開いた。

「東第二中のマエケン事前田健介だよ〜」と、自己紹介をした。

 鈴木はジーっくりと考えた。鈴木は前田の事を全く覚えていない。だが、鈴木はその事を言わなかった。前田は、少しだけ恰幅があるクラスに一人はいるムードメイカーのような男の子だった。そして、特徴としてはいつも関西弁を喋るような少年だった。それは、もう前田の笑顔はいつも愛嬌がある素晴らしい中学生だった。

けれど、前田の話に適当に合わせた。鈴木は、前田になんで自分のアパートの住所がわかっているのかと聞いた。

 すると、前田はとぼけた顔でなぜだが教えくれた。なんと、以前に鈴木先生が教えてくれたと答えた。

鈴木は、「そうだったな」と答えった。前田は満面の笑みにで鈴木に聞いた。

「鈴木はん、学校に行こう! 教師が不登校なんて本当に困るな!」

「ああ…あれ? 俺、今日まで何をしていたんだろう?」

「分からん! だって、三週間も学校を休んでいるだから!」

 そう言われると、鈴木は部屋着からスーツに着替えた。

 道中、鈴木は前田にいろいろ学校について質問した。例えば、受験の事や、自分の代行の先生が誰だとか教えた。そして、過去完了や強調文などはもう習ったかとなどうを。

 ところが、前田は怒り出した。

「そんな事、分かるわけないだろう! それより、先生として他に聞く事があるんじゃない?」

「先生が担当の科目について心配するのを何がいけないんだ! お前こそ、何を言っているんだ!」

「何を言ってるんだよ? もういいわ! じゃあな!」

 そして、前田は明日もっと朝早く迎えに来ると言い残して学校に向かって猛ダッシュをした。


 鈴木が職員室に向かうと驚きの光景があった。何故なら、鈴木が三週間以上も無断欠席をしたのに関わらず、誰も何も言ってこなかったからである。

鈴木は、この事が少しだけショックだった。しかし、ここは県でも一番の進学学校なので仕方のないかもしれない。

鈴木は、どれだけ専門の科目を生徒に教え込む事が出来ても、教育委員会が求める膨大の報告書を作成できるかが教師の全てだった。そして、鈴木は前田がくれた情報を頼り自分の席についた。鈴木は、悲しいが涙が一つも出来なかった。鈴木は、母親からもらったハンカチをぎゅっと握りしめながら涙が出ない方堪えた。

 その日、鈴木は生徒達に迷惑をかけた事を謝った。そして、鈴木は1日の授業を通して二つのことに気がついた。

 それは梢が授業中にいじめれらている事を。梢は、黒髪で長髪のせいもあり、「日本人形」と言うあだ名がつけられていた。だが、鈴木からしてみれば何故いじめられているのか理解できなった。

だが、鈴木からしてみれば何故いじめられるのか理解出来なかった。あえて言えば、梢は英語のスピーキンで少しだけども癖があるくらいだった。それ以外は、梢はどこにでもいる少しだけ暗い女の子だった。

 もう一つは、前田の事だ。鈴木は、三年生の全部のクラスを教えても前田はどのクラスにもいなかった。鈴木は、この事を直接に前田に尋ねようと思った。そして、鈴木は久しぶりの学校の業務でクタクタになりながら眠りについた。


 次の日、鈴木は気がつくと前田は部屋に侵入していた。それも前田は不器用ながらも目玉焼きを食べていた、バカにするようにこにこと笑っていた。そして、鈴木は何故どのクラスにも前田がいなかったのかと荒らしい口調で訊ねた。

「僕、特別なんや! 特熱に校長先生とマンツーマンなんや! なんか大人が言うには、他の友達と脳みその出来が違うみたいなんや!」

「そうなんだ……。マエケンは特別なんだな!」

「本当は、ポステイング制度でメジャー移籍と言いたいところやけど、校長先生は学校の友達と同じ高校に進学できるようにしてくれるんだ! いわゆる、指定校推薦だ。野球なら昔で言う逆指名だな」

 その瞬間、鈴木は朝に迎えに来るのが指定校推薦のためだと想った。そう前田が言い終わると、鈴木は部屋着を着替えてから学校に登校していた。

 鈴木は昼休みが苦手であった。何故なら、学校に復帰してから周りの先生たちはどこかぎこちないところがあったりしていたから。

普段なら、三年の英語テストの採点などが義務付けられていた。だが、何故かその雑務は他の先生が任されていた。鈴木は、何もしない罪悪感から学年主任に相談した。すると、暇なら生徒の見回りに行くように進める。

 鈴木は、生徒の見回りに言った。すると、鈴木は梢が女子生徒たちにいじめられているところを目撃した。鈴木は、その光景を凝視した。

だが、梢が泣きそうな顔で鈴木を見ると、鈴木は目を必死にそらした。鈴木は、困難な世の中でこの学校の酷いいじめが目の前で起きている事に報道にされたら他の受験生たちに迷惑がかかると思った。

もちろん、鈴木はいじめが良くない事だとわかっている。それでも、鈴木は受験生と学校のブランドを守るためには梢のような小さい犠牲は仕方ないと自分に言い聞かせた。

 鈴木は心の中で葛藤していた。本当にこの事が正しいのかとどうか悩んでいた。

鈴木が屋上に向かうと、後ろから前田が思い切り膝がっくんをしてきた。鈴木は戸惑った。そして、鈴木が前田に叱ろうとした。けれでも、前田は声を荒げながら鈴木に言った。

「鈴木はん。何か言いたいたいがあるなら言わないとあかんよ! それが周りの人が言わない事であっても。先だって、本当は何か言いたい事があったんやろ?」

「そうなんだけどね。言えないんだ。他の生徒達に迷惑をかけるのではないかと思って」

「嫌だ! 絶対に嫌や! 僕が先生と呼ぶのは本当の先生だと思う人だけや! 言いたくないけど、今のあんたは本当に情けない!」

 そう聞くと、鈴木は怒りに満ちた。だが、前田は鈴木にある事を提案した。

それは、鈴木が前田から出された課題をクリアにしていく事だった。そして、前田はこの課題を全てクリアにできたら鈴木先生と呼んでやってもいいかもと提案した。さらに、前田はもう朝に迎えにこない事も約束した。

 鈴木は、乗り気ではなかったがうるさい前田と縁が切れればいいのだと思った。チャレンジの内容は以下の通りだった。まずは、学生の名前と誕生日を覚える、学生の長所を見つけて誉める、個性は美しいと教える、教師は万能ではなくどこにでもいろんな人間だと教える事だった。

 鈴木は、この課題を聞いてどこか拍子抜けした。だが、どの課題も鈴木にとって難しかったからである。鈴木は必死の努力で学生の名前と誕生日を覚えた。一人一人の学生の長所を見つけて誉めた。

 その回もあって、鈴木は少しだけ生徒たちの人気者になった。鈴木は意見の対立もありながら少しずつでああるが前田と関係を深めていた。鈴木にとって、前田はなんでも相談できる良き友人になっていた。


 そんなある朝、前田は家に迎えにこなかった。

鈴木は大慌てをする。鈴木は、なんであの優しい前田が迎えに来ないのか少しだけわからなかった。

だが、鈴木は今週のチャレンジに集中した。そのチャレンジは『個性は美しい』と生徒に教える事だった。

 その日の英語のクラス、鈴木はシェイクスピアのセリフについて生徒たちに教えていた。そして、鈴木が音読したい生徒がいないかとかと訊ねた。

 だが、誰も手を上げなかった。だが、梢は手を上げた。

なので、鈴木は黒板に書かれている英文を梢に音読してもらいたいとお願いした。

「名前って何? 薔薇とよんでいる花を別の名前にしても美しい香りはそのまま」と、梢はか細い声で言った。

 梢はシェイクスピアのセリフを一言も噛まずに完璧な発音で言った。鈴木は、その梢の努力を誉めた。そして、クラスメートに拍手をするように促した。鈴木は大きな握手をした。

 梢は、どこあ心が満たされているような心地になっていた。それは、どこかで心が満たされている事の証拠なのかもしれないと梢は思った。そして、梢はぎこちない笑顔で微笑んだ。すると、クラスのみんなも同じようににこりと微笑んだ。

 その日、鈴木は久しぶりに三年生の中間テストを採点するように頼まれた。鈴木は、学年主任から、これは受験前のテストなので全ての三年生が受けていると説明した。なので、クラス名簿を渡された。

 その晩、鈴木は早くも前田に会いたいと思っていた。だが、その前に鈴木は中間テストの結果を前田に教えられるようと採点を終わらせる事にした。鈴木は全員の三年生の英語の中間テストを採点した。鈴木は三年生の点数をクラス名簿に記入するにした。

 鈴木は、「あいうえお」順に点数を記入した。

 そして、鈴木はその名簿をゆっくりと見ながら採点を始めた。

 すると、鈴木はある生徒の名前がない事に気がついて涙を流した。その学生名簿を見ると前田健介の名前がなかった。

「マエケン…。なんで、死んじゃったんだよ! 明日は学校だろう!」。と言った鈴木は大粒の涙をこぼした。

 その晩、鈴木は一晩泣いた。そして、自分のやった後悔に気がついた。それは、自分は前田を救う事が出来なかったという後悔だった。

 鈴木は自分が先生失格だと思った。何故なら、一人の生徒の命を救う事が出来なかったからだ。鈴木は全ての記憶を思い出したのだ。


すると、鈴木は今までの記憶を思い出した。前田が勉強で少しだけできない理由でいじめられていても、原因が未だにはっきりとしないままで、教頭先生が怒鳴りながら教育委員会の報告書を押し付けた事、学校集会で校長が夜遅く出歩くから起きた事故で注意できなかった事、みんな泣いていたお葬式だったり。

 鈴木は、何もかも嫌になって学校に行く事を拒んだのだ。そして、鈴木はわかっていた。前田は生き返らない事を。鈴木は悲しみの捨てに全ての事に嫌気がさして学校に行くのを辞めたのであった。

 次の日、鈴木はまるで別人のようにすっかり元気を無くしていた。さらに、鈴木はまだ梢に対するいじめが終わっていない事を知った。そして、そのいじめのグループメンバーを突き止める事に成功した。

 その晩、鈴木はあの男子生徒と女子高生たちの名前を見ていた。そして、前田が残したチャレンジを見た。最後のチャレジを見た。それは、『教師は万能ではなくどこにでもいる人間だと教える事』だった。

 だが、鈴木は電話に留守電が入っていた事に気がつく。それは、前田の留守電であった。その留守番電話の日付と時刻は前田が他界した日付だと先生に見て、また遊びに行くよと言う内容だった。

 その留守番電話を聞いて、鈴木は正気を戻っtが。


 次の日、鈴木は授業をしていた。

その時、鈴木は過去完了の説明を迎えていた。鈴木は説明を止めて前田の言葉を考えていた。

「前田くんがなくなった事はとても悲しい出来事だった。でも、本当の事を言うと、今だその事を受け止めきれずにいる。でも、一つだけ言いたい事があります。それは、どんな惨めでも、どんなにカッコ悪くても、どんなに寂しくても…。絶対に死なないでくれ。僕は教師としてではなく、彼の友人としてみんなに言います。そして、君たちの友人として言います。絶対に何があっても死なないでくれ! そして、明日も学校に行こう!」

 そう言い終わると、鈴木は涙を流しながら生徒達に頭を下げた。

 生徒たちも、大粒の涙を流した。それは、みんなにとって前田は太陽のような存在だったからである。前田は、いつも周りの生徒を励ましていた。前田こそが、鈴木をいつも陰から支えていた友達だったのだ。

 

 月日は流れ、鈴木のアパートには目覚まし時計がなっていた。だだ、目覚まし時計は直ぐに止まった。そして、鈴木は新しいスーツを着ていた。

「行ってきます!」と鈴木は言った。

 すると、どこか見覚えがある男子生徒が居た。なんとそれは、前田だった。鈴木先生の言葉でミラクルが起きて、前田くんの笑い声が聞こえた。

「ただいま! 鈴木先生!」と、前田がいつもの笑顔で言った。

 そして、鈴木は満面の笑みで前田に近づいた。そして、前田は鈴木の丸坊主の頭を撫でた。そして、力込めすぎない程度に前田を抱きしめた。

「ごめんな。本当はハグなんかしない方がいいかもしれないけど…。お帰りなさい、前田くん。僕の友達であり生徒である前田。君に会いたくてたまらなかった。もう一度、言うね。お帰りなさい!」

                       おわり

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