Heart to heart 7/7

 後日のことである。


 私はまどかちゃんから、仲直りしました、という報告を受けた。別にそんなこと報告しなくてもよかったのに、なんて思ったけども、来てくれた手前、そんなことは言えなかった。


 ちなみに、その場には葵ちゃんの姿もあった。


 両者の手は、互いを二度と離すまいと強く握られていた。



 生徒会室へと呼び出された時、きいは心底嫌そうな表情を浮かべていた。


「また呼び出しなの……」


「みたいだね。でも、前とは違うんじゃない?」


 生徒会室をノックすると、どうぞ、という声。扉を開けて中へ。そこにいたのは、前と同じで生徒会長と副会長だけ。いつも二人しかいないのか、私たちと相対するときだけ二人しかいないのか。……後者に決まってるか。


 席に着くと、平先輩が口を開く。


「解決したそうじゃないか。おめでとう」


「ありがとうございます。それで――」


「その部活存続の件だが」


 そこで、会長がいったん言葉を止めた。それから、頭をかく。表情は実に涼しげだったけれど、妙な胸騒ぎがした。


「あのー帰ってもいいですか」


「帰るならどうぞお好きに。その代わり廃部ということになりますが」


 橘花先輩の鋭い一言が私の腹部にしたたか突き刺さる。私は何も言えなくて、浮かせていた腰を下ろすことにする。


 平先輩はあはは、とちょっと力のない笑い声を発した。


「僕の力がふがいないばかりに先生たちを説得できなくてね……。もう少し、評判がよくなったらあるいは」


「……あの、もしかしてですけど、また同じようなことをしろと?」


 生徒会長は、ただ笑うばかりで肯定も否定もしない。


 でも、言いたいことはわかったし、私たちがとるべき選択肢がないこともわかった。


 私は大きくため息。


「行こうか、きい」


「う、うん」


 私は立ち上がり、車いすを押して、生徒会室から出る。


 その直前、私は言いたいことをぶちまけてやりたい衝動にかられた。でも、乙女としてそれはいかがなものだろうと、すんでのところで踏みとどまる。


「約束、守ってくださいよ」


「もちろん。報道部の人間と親しいキミを怒らせたら後が怖いからね」


 私は扉をこれでもかと思いっきり締めてやった。


 バーンと大きな音がしたけれども、大したストレス発散にはならなかった。

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