第15話 スレイヤー武道会④


「でもつかさ、後悔すんなよ?」

武はつかさを嘲笑うかの様にそう言った。


一気に空気が重くなった。そして、

「共に行こうや!ラグナロク!」

武はそう言い、空に手を上げ巨大な黄金の斧を具現化させた。


「これが武さんの武器、ラグナロク...!」

つかさは武の武器をみてゴクリと唾を飲んだ。

「俺のラグナロクは最強や、そんじょそこらのガキには負けへんで!」

武はそう言い、力強く地面を踏み込んだ。


「うぉぉぉ!」

「はぁぁぁ!」

力強く突進してくる武を迎え撃つ様につかさも前に出る。

「ぐぉッ!?」

しかしやはり力に関しては武の方が圧倒的に強かった。つかさはお互いの武器が当たった瞬間に吹き飛ばされてしまった。


しかし、そうなる事などつかさ自身分かっていた。

つかさの能力は「風の逆襲セカンドタイフーン」この能力は基本的にカウンター技だ、だから相手から攻撃されないと能力を使う事は出来ないのだ。


つかさは吹き飛ばされながらニヤリと笑い、吹き飛ばされた反動を身体に乗せ横に周り、身体に風を纏わせ、回転斬りを武にぶつけた。

「うぉ!なかなかやるやんか!」

しかし武は動揺せずにつかさの風の能力が上乗せされた回転斬りをたやすく受け流した。


(やはり風の逆襲セカンドタイフーンを使っても簡単には攻撃を入れる事は出来ないか...!)

「でも、まだまだやなぁ!」

武は攻撃を避けられ苦い顔をしているつかさに間髪入れずに攻撃をする。


「くッ、はぁー!」

しかしつかさも第2スレイヤー育成学校の代表でスレイヤー武道会に出れる程の力を持った学生スレイヤーだ。そう簡単にはやられはしない。つかさも何とか武の攻撃の反動を利用し攻撃を返す。しかし、

(やはり押されるか...!)

完全に流れを武に持って行かれていた。


「こんなもんかいな!」

武はそう言い、今までよりも強い一撃を繰り出す。それを受けたつかさは吹き飛ばされてしまった。


「はぁはぁ...」

つかさは何度も能力を使ったせいで体力が無くなってきていた。

「えらい疲れてるようやが大丈夫か?笑」

対して武は全然体力を失ってはいなかった。


「やっぱり武さんは強いですね、僕がこれだけ能力で反撃しても一撃も攻撃が当たらない。」

つかさは肩で息をしながらそう言った。


「これだけはしたくありませんでしたが、するしかないですね。武さんを倒せるかもしれない唯一の方法を。」

そう言いつかさは目を閉じた。

(思いだせ、今まで受けた全ての反動を、全て力に変えろ!)

その途端、つかさの身体を風が囲み出す。


それに気付いた武は、

「なんやなんや必殺技かいな?おもろいやないか。全力で弾き飛ばしたるわ!」

避けようとはせず、つかさの正面でラグナロクを構えた。


それを見たつかさは

「後悔しないで下さいよ...!」

そう言い、

「全ての反動をこの身に、風の覇者タイフーンキングッ!」

これまで受けてきた全ての攻撃の反動を身体に纏わせた。

「うぐっ...」

やはり身体は悲鳴を上げる。当然だ。あまり使いたくはない位には反動は凄まじい。

しかし、それだけ技の威力も凄まじい。


「はぁぁぁ!」

つかさは悲鳴を上げる身体を押さえつけ、今までとは比べ物にならないくらい荒い風を纏わせて武に飛びついた。


バビューンと鋭い音と共に武のラグナロクとつかさの剣である雪風ユキカゼがぶつかる。

「うお...!」

その瞬間武が少し後ろに飛ばされた。

「おもろいやんけ!」

予想以上に風の覇者タイフーンキングで力を上げたつかさの攻撃を受け、武はニヤリと笑い、

「よし!分かった!特別に俺の能力で倒したるわ!」

武は全力でやり合える相手としてつかさを認めた。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る