第14話 スレイヤー武道会③


災害獣解放ビーストモード!」

めいは身体を起こしながらそう叫んだ瞬間、

「な...!?」

身体が何倍にも膨らんでいき、服は破け、身体は毛で覆われ、鋭い猫耳が生えた。

「これが私の奥義、災害獣解放ビーストモードよ!」

めいはさっきまでの声からは想像もつかない獣の声でそう言った。


「狂気の化け猫と言われていた意味がやっと分かったわ」

みずきは化け物になっためいを見ながらそう言い、ニヤリと笑った。そして、

「はぁー!」

再び、身体に青き稲妻ブルーインパルスを纏わせ、めいに突進して行った。


「ギギャャャャ!」

めいは突進してくるみずきを巨大な手で叩き潰そうとするが、青き稲妻ブルーインパルスで避けられる。

そして再び背中を取られ、


「もう一撃叩き込んであげるわ!伏雷ノ霆霹ふくらいのいがずち!」

みずきはめいの巨大な身体を斬り裂いた。


はずだった。

「なッ!?」

なんとみずきの一撃はめいの背中に弾かれたのだ。

そしてめいはいきなりの出来事に動揺し、上手く着地出来ていないみずきを巨大な腕で吹き飛ばした。


「ぐっ……はぁ!?」

みずきは何とか王刃剣おうがとうでめいの一撃を防ぐが、吹き飛ばされ、ビルに身体を叩きつけられた。


「私が奥義を使えば、A級スレイヤーも敵じゃ無いわね」

めいは膝を着きながらも起き上がろうとしているみずきに対してそう言った。

「言ってくれるじゃない...」

ここで負ける訳には行かない。みずきはこの舞台に立てなかったかんたの思いも背負っているのだ。だから、

「はぁー!!」

絶対に勝つ。その思いを胸に、みずきはめいに立ち向かって行った。


風の爪エアカッター!」

めいはそれを向かい撃つ様に両手から風の爪エアカッターを放つ。今までとは威力も速さも桁違いの一撃だ。


しかしみずきは回避せずに、

雷の波紋サンダーウェーブ!」

王刃剣おうがとうで空を斬り、雷の衝撃波を飛ばし、風の爪エアカッターを斬り裂いた。更に衝撃波は止まらず、

「うがッ!?」

めいの身体の中でも柔らかい部分である腹を衝撃波で斬り裂いた。そしてみずきはその隙を見逃さなかった。


青き稲妻ブルーインパルスで一気にめいの前まで加速し、「伏雷ノ霆霹ふくらいのいかずちッ!」

今度こそめいを斬り裂いた。


「うぎゃぁぁぁぁああああ!」

叫び声と共に元のサイズまで戻り、地面にひれ伏した。


それを確認した実況は、

「今回のスレイヤー武道会で初参戦の東雲みずきが去年準優勝の高野めい選手を倒しました!よって高野めい選手失格になります!」

その実況と共に大歓声が起こった。


「やったわよ!かんた!」

みずきも実況を聞き、自分が勝った事を実感した。


「強いですねみずきさん。優勝も狙えるんじゃないですか」

「そうだな、でもみずきの力はこんなもんじゃないさ。」

護衛側にいたかんたとれいらも開始早々前回準優勝者を倒したみずきに拍手をした。


「貴方、強かったわ。まだまだ強い奴が居るから頑張るのよ」

「ありがとう、貴方の思いの分まで頑張るわ」

めいは去り際にそうみずきと会話を交わした。


「さぁ早速1人目の脱落者が出ました!次は誰が脱落するのでしょうか!?」

めいが運ばれて行った後、実況はそう言いフィールド全体を見回した。すると、

「おっと!他の戦いも始まっている様です!あそこでは第2スレイヤー育成学校同士で戦っています!」


「なかなか良い動きするやないか!」

「武さん、やっぱり貴方は桁違いだ!」

そこでは前回優勝者、岩崎武と今回初参戦のB級スレイヤー、信条しんじょうつかさが戦っていた。


「はぁ!」

「まだまだ攻撃があまあまやで!」

つかさは自身の武器である銀色の細長い剣を振るうが、武は全て軽く交わす。武はまだ武器を具現化すらそして、

「ふん!」

「ぐはぁ!?」

武は大きく空振りをしたつかさにパンチを入れた。


「はぁはぁ...」

相手は武器無しで戦っている、おそらく舐められているだろう、つかさはそんな現状が嫌だった。

勝ち負け関係無く、全力でぶつかり合いたい。

それがつかさの考えだった。だから、

「武さん、そろそろちゃんと戦って下さい。ずっとそんな戦い方されると、勝ち負け関係無しで気分が悪いです。」

武にちゃんと戦うように言った。


「それはかんにんかんにん笑俺やて舐めてる訳やないんや、軽いアップをしてただけやから。」

武は軽く謝り、

「じゃあそろそろ武器使おかな」

首をゴキゴキ鳴らしながらそう言った。


その途端、その場の空気感が変わり、

「でもつかさ、後悔すんなよ?」

武はつかさを嘲笑うかの様にそう言った。

 

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