第16話 スレイヤー武道会⑤


「よし!分かった!特別に俺の能力で倒したるわ!」

武は全力でやり合える相手としてつかさを認めた。

その瞬間、


石の賢者ロックロールッ!」


武とつかさの周りの石や瓦礫が空中に浮かび、つかさめがけて飛んで行った。


「クッ...!」

武の能力を初めて見たつかさは顔に焦りを見せた。

しかし、つかさは自身の風の覇者タイフーンキングで身体の周りを風で固め、飛んできた石や瓦礫を全て吹き飛ばした。


だが、全ての石や瓦礫を吹き飛ばされたにも関わらず、武は笑っていた。


「なっ!?」

その瞬間、地面全体が崩れ落ちた。

つかさはなんとか足に風を纏わせ、崩れ落ちていく地面から

飛び、なんとか巻き込まれる事は無かった。だが...


「嘘だろ...」

その光景は、つかさに絶望と言うダメージをいれた。

なんと崩れ落ちた地面を見ると、そこには大きな穴が空いており、底が見えない程だった。


「どや?ビビったか?俺の能力である石の賢者ロックロールは自分の周辺にある石や瓦礫を自分の好きなように操る事ができるっちゅう能力や。ゆうたらこのフィールドにおる限りは俺から逃げる事はできへん言う事やな。」


それを聞いたつかさは余りの力量の差に苦笑いした。

「そんなの俺に勝機なんて無いに等しいじゃないですか...」

つかさは呆れた様にそう言う


「ん?なんや?まさか降参か?」

武は煽るようにそう返した。


「確かに降参した方がいいかも知れませんね」

だがつかさは降参するなんて選択肢は1%も考えていなかった

「でも俺は降参なんてしませんよ。俺は第2スレイヤー育成学校の代表としてこの場所に立たせてもらっているんです。だから俺は勝てないとしても最後まで戦い続ける!」


そう言うと共に足に風を纏わせ武に向かって行く。

(あと風の覇者タイフーンキングを継続させられる時間はせいぜいあと1、2分程度だろう、だからそれまでは戦い続ける!)

「はぁー!!」

つかさは全身に纏われている風を手に集中させて、自身の武器である雪風ユキカゼを武に向かって振るう。


しかし、武は後ろに下がり簡単に回避する。

だが、そんな事は予想していた。

(本命は次の攻撃だ...!)

つかさは空振りした雪風ユキカゼに再び力を入れて、

空振りした力を利用し回転して、先程よりも強い斬撃を武に放った。


「甘いわ!」

だがその攻撃は武がコントロールした石によって防御されてしまう。


「クッ...」

更に武はコントロールした石によってつかさから見えなくなった隙にラグナロクを大きく振りかぶり、


つかさの前から石が消えた瞬間につかさに斬撃を放った。


「ぐはぁ!?」

つかさはいきなり放たれた一撃をなんとか雪風ユキカゼで防御するが、その反動で吹き飛ばされてしまった。


更に武は吹き飛ばされたつかさを追いかけ、追撃を放ちに行く。確実に終わらせに来ている事はつかさにも分かった。


しかし、つかさには理解する事ができるだけで、それを避ける術も守る術も持ち合わせてはいなかった。


だからつかさはここで負けを確信した。

しかし、つかさの目の前に来た所で急に立ち止まり、

「一旦戦いは中止や、なんやあれ!?」

そう言い武は右側を指さした。顔には明らかな焦りと動揺が現れている。

つかさは負けを確信していたのに武が止まり、自分に攻撃を入れなかった事に唖然としながら武が指さした方を見ると、

「……!?」

そこにはありえない光景が広がっていた。

しかし、それは地獄の始まりに過ぎなかった。

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