第10話 サクラ = ‪✕‬ ‪✕‬ 色ニャ!?

「ん、それなーに?」

 ホークが小型システム端末を用いて制作したものを見つめて尋ねた。

「洗顔だ。これで我を、咲希の色に染めてみよ」

「ん.......じゃあー、目瞑ってて?私がナデナデしてあげる」

「ふむ.......我の全てを預けよう」

「ふふっ.......ん、ピンク色だ。ホークって色の調整が凄い上手だよね。泡立てると.......私の色」

 咲希はチョンっとホークの鼻先へ泡を付け、とても楽しげな様子だ。

「我で遊ぶな」

「んぅ〜.......遊んでるんじゃなくて、甘えてるのー」

 イタズラ心がなかった訳ではない。

 しかしそれは、甘えからとった行動であり、ホークを喜ばせたいという気持ちもあった。


「ふむ.......しかし今、我を可愛いなどと思っただろう?」

「んー.......だめ?ホークは私の事可愛がってくれるんでしょ?私もしたいー」

「ふむ.......それもそうだな」

「やた!じゃーどうしちゃおっかなー?」


「とりま、頬っぺをナデナデでしょー?それからー.......ん、いい事思い付いた。でもまだ内緒ー」

 優しく頬を撫で、或いはイタズラにフニフニと突くように.......思うまま、感じるままに指を遊ばせた。


「よし.......最後にこのイケナイ唇をーっと.......むふふっ.......散々私を可愛がってくれちゃったからー.......仕返ししちゃおーっと」

 ホークは内心思うところがあるようだが、大人しくされるがままとなった。

「.......ん.......泡が乗ってると.......更にエッチ。.......ケーキに乗ったふわふわなクリームみたいで、凄く甘そう.......ね、食べちゃ.......ダメ?」

 咲希はあざとく、耳元でそう問い掛けた。

 それからホークが抵抗せぬのをいい事に、パクリと耳へかぶりつき、首筋を舐め、妖艶な声を漏らして誘惑した。


「ね.......これ、気持ち良くない?」

 もっちり泡を大量に唇へ付け、直接指を触れないようにクルクルと撫でた。

「.......ん」

 ホークのらしくない返事に、咲希はキュンと心をときめかせた。


「ん、出来たよ。更に格好良くなった。本当に食べちゃいたいくらい」

「.......ふむ.......惜しいな」

「えっ?何が?」

「いつまでも味わっていたくなるような感覚.......終わってしまうのが惜しいと思った」

「そ?.......じゃあ、もっとする?」

「.......では、そうだな。頭を洗って欲しい」

「ん、任せてー」

 咲希はそう言って、ホークの背後へ移動した。

「あぁ、頼む」


 モコモコと泡立てた薄ピンク色の泡を、ホークの頭へ馴染ませた。

 それからワシャワシャと頭皮を洗い、自己流のヘッドマッサージを披露した。


「ん.......トリートメント付けなくてもトゥルントゥルンだけど、付けるともっとトゥルントゥルン」

「ふんっ.......それは当然だろう」

「ん、だね」

「.......咲希の言っていた事が良く分かる。髪先まで感覚を持たせ、その暖かな指で掬われたら.......どれほど気持ち良かろうか」

「ふふっ.......我慢しなくちゃ。それはまた今度.......でしょ?」

「.......あぁ」


「よし、髪もおしまいっと.......ね、このまましちゃう?気持ち良さそうだから、体も洗ったげる」

「ふむ.......では暫し任せよう」

「ん、いっぱい気持ち良くしたげる」

「.......手柔らかに頼む。動けなくなっては困る」

「んー.......良いよ?もしホークが動けなくなっちゃったら、その隙に私がめちゃくちゃにしてあげるから」

「.......ふんっ、あまり挑発するな」

「ふふんっ、なーに?もしかして.......興奮しちゃった?」

「.......覚えておくが良い。後で我も仕返しをしてやろう」

「んっ.......それ、凄く興奮する」

「ふんっ」


「.......咲希.......先程のを.......頼む.......」

「ん?さっきのって?」

「.......我の唇へしていた事だ」

「あー.......んー.......どうしよっかな〜?」

「.......やはり後で我も仕返しをしてやろう」

「ふふっ.......冗談だよ。.......ホーク.......結構キてるでしょ?」

「.......あぁ.......意識が沈み行くようだ」

「ん.......ほんと、それね.......もっと感じて?」

 吸い付くような感覚に、シュワシュワと弾け、微弱な振動を与えては消えて行く泡.......。

 何とも魅惑的な感覚に、ホークは静かに酔いしれた。


「.......咲希.......こちらへ来るが良い。我もしてやろう」

「ん.......」

 咲希はホークに促されるままに、再び膝上へ跨った。


 それから2人は、共に泡まみれになり、ふわふわと泡を擦り付け合った。

 シュワシュワと脆い泡は、まるで夢のように儚く、次々と刹那に消えて行った。


「.......もっと感じよ.......我を.......」

 泡の優しく纏わりついてくるような魅惑的な感覚は、咲希の癖を忘れさせた。


「あッ!.......あぁッ.......ぁぁ.......はぁぁんッ」

 いつの間に太ももまでもを撫でていた指が、咲希の秘部へと触れた。

「.......ふむ.......やはりこの辺りへの刺激は別格か。良い.......もっと感じよ.......今宵は、嫌と言うほど可愛いがってやろう」

「あァッ!あッ.......ぁぁ.......あぁぁっ.......」


 優しく外陰部を撫で、陰核を避け.......控え目な愛撫はジワジワと咲希を追い詰めた。


「アアァッ!ンアッ!あッ.......ぁぁっ.......」

 そして陰核へ刺激を受けると、咲希はグッと背を仰け反らせた。

「.......ふむ.......此処が堪らぬのか。良い.......もっと乱れてみせよ」

「はっあぁッ!.......あぁァッ!.......ホーク.......アァッ.......ぁぁ.......もっと.......はぁっァ〜.......もっとぉ.......」

「ふむ、良かろう」

 ゆるゆると撫で行く指は、着実に咲希を昂らせていった。


「はぁっあぁァンッ.......て.......もっと.......強く.......あぁァッ!アッ!.......おね、が.......あぁァッ.......ホー.......ク.......おね.......がい.......」

「.......ふんっ.......辛抱せよ」

「あぁァッ.......ダメッ.......ダメぇ.......ンアァッ!.......はぅぅ〜.......」


「はぁ.......何と淫らな体だ.......しかし、そこが良い.......さて.......咲希も我のを洗ってみよ」

「あぅぅ.......ぁぁ.......する.......するから.......手.......止めて.......」

「ふんっ.......仕方のない奴だ」

「.......あっ.......んっ.......おっきい.......はぁっぁ.......んぅぅ.......」

 ホークの滾った陰茎を見つめ、触れ.......咲希の奥はキュンと疼いた。

「.......っ.......くっ.......これは.......堪らぬな」

「んっ.......ぁ.......ホークの、早く.......欲しい」

「.......っ.......辛抱せよ.............くっ......」

 それから咲希は暫しの間、先程のホークに倣い、ゆるゆると控え目に手を滑らせた。


「もう良い.......そろそろ湯へ浸かろう」

「.......ん.......ん、抱っこ.......」


 ホークは咲希を抱いたまま浴槽へ入り、そのまま後ろから抱き締めるようにして座らせた。

「.......熱くなかろうか?」

「ん、平気」

「.......咲希.......」

「.......なーに?」

「.......熱く.......重く.......甘い.......ずっとこうして、抱いていたくなる」

「んっ.......ホーク.......いいよ.......ずっと、してて?」

「.......ふんっ.......辛抱出来なかろう?」

「ふふっ.......ん、むり」

 それからホークはそっと咲希の首筋へ口付け、スルリと腕を撫で下ろし、手を握った。

 それから何度も何度も口付けた。


「さて.......そろそろ上がろう。我が髪を乾かしてやろう」

 ホークはそう言いながら、咲希を抱き上げた。

「ん、私も、ホークの乾かす」

「あぁ、では頼む」


 2人は甘ったるい雰囲気を保ちながら、互いに互いの体を拭き、髪を乾かし.......そして、寝室へと移動した。


 やはり真っ黒なベッドに咲希を座らせ、優しく口付け、そのままグッと押し倒した。

 羽織っていただけのローブは簡単にはだけた。

「今宵は、心ゆくまで互いに溶け合おう」

「ん.......いっぱい.......しよ.......壊れちゃうくらい、いっぱい」

 そう言い終わった刹那、咲希は熱く唇を塞がれた。


「んっ.......んぁっ.......んっ.......」

 首へ回していた腕を、ホークが優しく下ろさせた。

 それから何度も何度も甘く口付け.......。


 頭へピタリと添えられた暖かな手が安心感を与え、咲希を更に深い霧海へ誘った。


「.......咲希」


「.......もっと感じよ」


「.......足りぬ」


「.......もっと酔ってみせよ」


「.......んっ.......あっ.......ホーク.......んっ.......んんっ.......ホーク.......」

 甘い囁きが響く度、咲希は己が今誰に抱かれているのかを強く再認識した。


「んっはっ.......あっ.......ぁんぅぅっ.......」

 ヌルリと舌が侵入してきた事に大きく喘ぐと、頭に添えられた手にグッと力が込められ、咲希はキュンと心をときめかせた。


 緩やかに絡まってくる舌は、優しくありながら、己を陥れてくるようだ。

「.......甘い」


「.......咲希が感じている快感を思うと.......甘く感じる.......それも次第に甘さを増して行くようだ.......」


「.......我を誘惑しているのか?」


「.......まるで.......もっとと.......せがまれているようで.......堪らぬな」


「んんっ.......んぁぁ.......」

 頬からゆっくりと体を撫で下ろす手が、ゾワゾワと興奮を掻き立てた。


「あぁッ!.......ぁぁっ.......あっんんっ.......」

 首元へ口付けられ、ジンと熱い快感が走り、肌へ触れたままの唇が、ふわりと余韻を与えてくる。

 スルリと左腕を撫で下ろされ、そのままギュッと手を握られた。

 ゆるゆると撫でてくる親指は、優しく、心地良い。


「んあッ!.......あぁッ!あっ.......ぁぁンンッ」

 ヌルリと舌が触れ、チュウッと吸われる感覚は、更に霧海の奥深くへ引き込もうとしているようで、僅かな正気を揺さぶってくる。

 流れるような愛撫は、考える隙を奪って行くようだ。


 挑発的な唇は少しずつ位置を変え.......

 次第に下へ.......


「.......柔らかい肌が.......心地良い」

 ホークの言葉は、己の気持ちとまるで同じだった。


「.......しかし.......やはり甘くもあり.......誘惑的だ」

 甘い言葉が、己に新たな感性を与えて行く.......。


「.......まるで我を誘う花のよう.......甘い蜜を滴らせているようで.......舐めてしまいたくなるな」


 ギュッと握ってくれていた手が解かれ、スルリと腕を撫で上げていった。

 それから、頭へ添えられていた手が頬を伝い、首を伝い.......

 ゆっくりと快感を与え行く手は、意地悪で、興奮を掻き立てた。


「んぁぁッ.......あぁッ.......ふ、うんん、んぁぁっ.......」

 熱い唇が左胸へかぶりついてきて、その快感はまるで、肌をジュッと焼かれるよう.......。

 首筋をスルスルと指先で撫でられ、ゾクリとした感覚が全身を迸った。


 ヌルヌルと胸を舐められ、ジュッと吸われ.......

 吸いながら舌先でコリコリと転がされ.......


 ぐわんぐわんする.......

 まるで世界が揺れているような感覚だ。

 深く浸ると、こんなにも気持ち良いものなのか.......咲希は己で己の感じ具合に驚いた。


「.......う.......んっ.......ホーク.......手.......」

 怖い訳ではないが、何故だか暖かな手が恋しくなった。

「あぁ.......もっと味わうが良い」


 意識が.......沈み行くようだ.......

 この身を覆い尽くさんと迫り来る闇は、決して暗くなく、穏やか.......

 それから、とても甘い。


「んっ.......んんぅッ.......はっ.......ぁ.......んっ.......はぁぁ.......」

 それから再び唇を奪われ.......

 優しく.......甘く.......掻き乱してくる。

 ジュワッと口内に広がる蜜は.......

 本当に甘いような気がした。

 .......魅惑的な蜜を自ら求め、舌を絡ませに行く己は、まるで.......本能に溺れているようだ。


「.......もっと溺れてしまえば良かろう」

 .......黒い花は甘い言葉を囁き、己へ蜜を注ぎ込んできた。

 蜜を飲み込めば、スっと喉の奥へと染み行き.......

 直に体内から己を蝕んでくるのかもしれない。


 .......その時は遠くなかった。

 意識すればするほど.......そうなってしまうような気がしてならなかったのだ。

 体内からジワリと込み上げてきた熱は、留まるところを知らず、どんどん熱くなっていくような気がした。


「.......可愛い奴だ.......体内まで我に侵され.......感じているのだろう?」


「.......もっと飲み込んでしまえば良かろう」


「.......我が蜜を吸い喘ぐ雌花か.......何とも.......淫らで狂おしい」


「.......もっと喘ぎ、我を誘惑してみるが良い」


「.......さすれば、壊れてしまうほど.......蜜を注ぎ込んでやろう」


 黒い花は甘く囁き.......一つ.......また一つと.......

 ふわりと何かを奪い去って行く。


「.......ふむ.......もう完全に溶けてしまったか。.......しかしその虚ろな目も.......堪らぬ」


「はぁッ.......あッ.......はっ.......んぅぅッ.......んッ.......」

 何もかもがどうでもいい.......

 唯一欲しいのは、黒い花が与えてくれる甘い刺激.......。


 雄花に囚われた雌花は、ただただ、狂気的な快楽に溺れるのみだ。

 可憐な雌花は蜜を注がれてこそ、鮮やかに艶やかに咲き乱れる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

過激に!エッチに!異世界ライフニャ!? バニーガール様 @jinniss-4

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ