第26話

 僕が目覚めてから一週間ほど過ぎた。相変わらず僕はこの部屋の中に閉じ込められていて外に出ることは出来なかった。


 外に出ようとすれば、アリアやリリアお姉ちゃんが絶対と言っていい程止めに来て涙を目いっぱい溜めて「外にいってはいけないよ、ロア君。また怪我しちゃったら私、耐えられないから」と心の底から心配した言葉を吐かれながら泣くのだから、どうしてもその一歩が踏み出せない。


 でも、流石に学校を休みすぎちゃってるし、身体は相変わらず不自由だけれど動けないことはないから登校したいんだけれどな。


 それをリリアお姉ちゃんに言っても「ダメ」って言われちゃったし。


 もしかして、このまま僕は一生ここにいなければいけないのかもしれないなんてそう考えると流石にげんなりとしてしまう。


 ここには何もないのだ。唯一あるのが、リリアお姉ちゃんとかミアから与えられた本とかだからそれも読み終わってしまえば、することがなくなってしまう。何度も同じ本を読むという人もいるだろうけれど、僕はそういう派閥の人間じゃないからね。


 今日も今日とて彼女たちの心配を取り除くべく僕は、彼女たちがいない時を見計らって体を慣らしていく。


 彼女たちがいるときに筋トレでもしようものなら、同じように泣かれて、止めてと懇願されてしまうから。確かに重傷ではあるんだけれど、あそこまで心配するほどの事じゃないと思うんだけれどな。もう、これだけ動けるのだから。そう思って部屋の中でジャンプするとバランスを崩して転んでしまった。


 勿論、心配させている僕が悪いんだけれどさ。


「ロア、起きてる?」


 ノックして入ってきたのは、エリーだった。


「ロア、何してるの?動いちゃダメって言ったよね?」

「あー、えっとそれは........」


 彼女の目が真っ黒になって曇る。


 今僕の状態を説明すると、床に座っている状態である。タイミング悪く転んだ状態の所にエリーが来てしまった。何とか座った状態に戻せたけれど流石にベッドまで行く時間がなかった。


「ベッドから出ちゃダメ。どこにも行っちゃだめ」


 そう言って座っている僕に近づき、彼女に介護されながらベッドに戻される。


「え、エリー。学校は大丈夫なの?」

「大丈夫。私にとっては学校よりもロアの方が大事。それに私が学校で習うようなことはないから、行かなくてもいい。行ったとしても研究室に籠ってるだけ」


 そう言った彼女は相変わらず目は曇っていて、僕以外を視界から消しているのではないかとそう思えてならない。


 その日、エリーはアリア達が戻ってくるまで部屋の中で僕の事を監視していた。


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