第24話

 目が覚めてから、どうにも頭が重いし靄がかかったような状態で気持ちが悪いが、魔物に襲われるなんて失態を犯したみたいだし、これ以上失敗しないためにしっかりしないといけないな。


 僕は慣れない体を動かし、大きく息を吸って吐き落ち着かせることにした。


 アリアは先ほど、どこかに出て行ったようで直ぐに戻るとは言っていた。


 それにしても、いったいここはどこなのだろう?見たことがあるようなないような不思議な感じだ。


 部屋の中を観察していると、ドアがノックされる。アリアが帰ってきたのかなと思いつつ「入ってもいいですよ」と声を掛けると、入室してきたのはリリアお姉ちゃんとミアだった。


「あぁ...........ロア君、ダイジョウブですか?私はとっても心配で、仕方がなかったんですよ」

「ロア、ダイジョウブ?痛いところはもうない?」


 まただ、どうしてだろう。また僕はアリアと会った時と同じような感覚に陥っている。彼女達の事を何故か怖い、という感情で認識してしまっている。こんなにも彼女たちが心配してくれているというのに僕はなんて薄情な奴なんだろう。


「大丈夫だよ、二人とも。こんな状態になっていうことじゃないかもしれないけれど」

「ロア君、ごめんね。私が守ってあげられなかったからこんな風になってしまったんだよね。私がその場にいなかったから」


 そう言って僕の頬に優しく振れたリリアお姉ちゃん。


 やっぱりだ。リリアお姉ちゃんが動こうとするたびに僕の心はザワツキ、鼓動が早くなる。そして、頬を触れられた瞬間にびくりとしてしまいそうになる。


 僕のその様子にリリアお姉ちゃんは若干悲しそうな顔をした後にこう言った。


「魔物に襲われてまだそんなに経っていないからロア君は、敏感になってるんだね。ごめんね、ロア君」

「い、いや大丈夫だよ。リリアお姉ちゃん。びっくりしちゃっただけだから。こっちこそごめんね」

「いいの、ロア君。これから一緒に頑張っていこうね」

「うん、ありがとうリリアお姉ちゃん」


 僕が恐怖を抑え込んでリリアお姉ちゃんにそういうと、リリアお姉ちゃんは体をビクンとさせて頬を緩めた。


 そうだよ、きっと僕は魔物に襲われてきっと今は過敏になってしまっているだけに過ぎない。この恐怖も一週間もしないうちに消えるはずだから。


 こんなに優しいリリアお姉ちゃんも、アリアもミアもいるんだから。


「ロア、何か困ったことがあったら言ってね。私が何でもしてあげるから。なんでもお世話するよ」

「ミアもありがとうね。ミアが幼馴染で良かったよ」

「そ、そっか。なら私もロアと幼馴染で良かった」


 ...........大丈夫、ミアも僕の事を心配してくれているだけ。こんなに苦しくて怖いわけがないんだ。


 こんなに心配してくれている彼女たちに失礼だろう。いつからこんな奴になってしまったんだ、僕は。


「私たちはやることがあるから、出て行くね。困ったことがあったら直ぐに呼んでねロア君」

「うん、分かった」

「じゃあね、ロア」


 彼女たちが部屋を出て行く。


 心にあった恐怖や不安、苦しさが徐々に薄れていくのを感じた。


 本当に僕はどうしてしまったんだ。


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 お久しぶりです、かにくいです。


 新作の『僕がみんなから嫌われすぎても、彼女だけは隣にいた』を出しました。

 

 『僕が死んだことになった、知らぬ間に彼女達は曇っていた』がもう少しで終わるので、随時こちらの更新もいきますので、これからもこの作品をよろしくお願いします。


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