第17話

「クロエ、今日は本当にありがとうね。僕はクロエに迷惑を掛けてばかりだ」

「大丈夫だよ。何度も言っているけれど私たちは親友じゃないか」


 夕食を食べ終え、一息つく。


 今日一日を振り返ってみてクロエに迷惑ばかりを掛けていたことを痛感し、改めてお礼を言う。


「..............でもやはり、今日改めてロアは学校に行くべきじゃないと思ったよ。今日の様な事がこれから先も起こるような気がしてならないし、これ以上の事がこの先起きたら私でもカバーはできない」

「それは..............」

「まぁ、ある程度はリリアさんの家の権力、そして聖女として名を馳せているアリアさんの力で何とかなるとは思うけれど」


 クロエが放った言葉に対して、僕は言い返す言葉がなかった。確かにこれ以上の事が起こってしまったら僕自身じゃどうしようもなくなってしまう。


 それに彼女達の暴走は今のところ収まる気配はないので、容易にそれ以上を想像できてしまう。


「..............だが、それでもロアが学校に行きたいというのなら私は止めないよ。ロアがやりたい事を私は応援したいからね」

「......ありがとう、クロエ。本当に感謝以外の言葉はないよ。クロエがもし女の子だったら、きっと僕はクロエ以外見えない程夢中になっていたと思うよ」

「…ッ。そっか。まぁ.........私は男だから。私も女だったら必ずロアに惚れていると思うよ。そして、絶対に放さないだろうね」


 クロエは一瞬ビクッと体を震わせたかと思うと、口元を隠しながらそう言った。


 何か不味いことを言ってしまうだろうか。


 まぁ、確かに同性に対してさっきのような言葉を言うのは気持ち悪いか。反省しないとな。


「それじゃあ、ロア。私は部屋に戻ることにするよ。今日は疲れただろうから、早めに寝た方がいいよ」

「うん」

「…絶対に寝てね。夜更かししたり、歩く練習だとか言って外に出ないように」

「わ、分かってるから」


 じぃっとこちらを窺うようにそう言うので、そう返す。信用がないのは少し悲しいが、自分のせいなので仕方がない。


「じゃあ、おやすみ」

「うん、おやすみ。また明日」


 クロエが静かに部屋を閉めて、部屋を出て行った。


 さて、僕も寝ることにしよう。クロエに怒られたくないしね。

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 おはようございます、かにくいです。

 

 新作の「僕が死んだことになったら、知らぬ間に彼女たちは曇っていた」を出しました。


 この作品共々よろしくお願いします。

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