第14話
ミア、クロエと一緒に教室へと入る。
明らかに自分を見る目が痛々しいものに変わっており、なんと声を掛けていいのか分からないようで、俯いている人、恐る恐るこちらの様子を窺うように見ている人、何とか僕へと謝りたいのか一歩を踏み出そうとする人。
反応は様々だが、教室が地獄のような空気になっていることは確かだ。
まぁ....俺を前から嫌っていた一部の貴族はにやにやした笑みを浮かべてはいるが。あぁいった人間、主にプライドが異常に高い貴族たちはこういった空気を読むのが苦手なのか全くと言っていい程気づいていないようだけれど。
「ロア、ああいった貴族は君の事をその....あまりよく思っていないみたいだから気を付けて」
「うん、わかっているよ」
クロエがちらりとそちらを見て、心配そうな顔でそう声を掛けてくるので素直に頷く。
「おはようございます、ロア様」
「....おはよう、アリア。その....大丈夫?」
「...?」
アリアは首をかしげているが、化粧で多少隠しているものの寝不足であることが仲良くしてきた僕には分かるし、自分で言うのは難だけれど僕を見つめるその視線は日に日に崇拝するような目になってきており、黒色、そして薄い金色のオッドアイはドロドロとしたもののように感じられてしまう。
「寝不足に見えるからさ」
「....やはり、ロア様は優しいですね」
「そう、かな?」
「そうです。自信をお持ちください。ロア様以上に心が広く、優しく、皆に平等で、存在が神々しく、完璧なお方はこの世にあなた様だけなのですから」
じぃーっと僕の顔を見たかと思えば、ドロドロに濁った目を蕩けさせ頬を紅潮させるアリアに思わず距離を取ってしまいたくなったが、そうすることによってアリアがどう動くかはここ最近の経験によってわかっているからグッと堪える。
アリアが落ち着くまで数分を要したが、その後はミア、クロエ、僕、アリアの四人で談笑をして時間が来るのを待っていると....
「おいおい、また学校に来たのかよゴミ屑」
「っていうか、まだ生きてたんだ。さっさと死ねよ。お前のようなゴミはこの学校には必要ねぇんだよ」
「そうです、あなたのような平民がいていいような場所ではありません。勿論、そこにいるメス豚もですが」
嘲笑を含んだ声でそんなことを言い放ったのは、やはりこちらをにやにやと気持ちの悪い笑みを浮かべていた連中だった。
........はぁ、また耐えなければいけないのかそう思い心を無にして放たれるだろう言葉、暴力を粛々と受けいれようと思っていたが........
「........え?」
飛び散った鮮血が、僕の頬を伝って流れ落ちた。
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