第13話
「クロエ、前にも言ったけれど少し恥ずかしいから普通にしてくれないかな....?」
「....普通にしているよ。ただ、少しだけ警戒しているだけで」
クロエは護衛のようにぴったりくっつき周りを睨みつけながら、歩く。
彼女たちが元に戻る前....つまり、彼女たちが僕の事を酷く嫌い虐めていた時はこれ以上に僕にくっついていたが、今は彼女たちが元に戻ったし僕の精神状態もあの時より良くなっているので少しだけ恥ずかしい。
「でも、クロエ。周りの僕を見る視線が前とは明らかに違うよ?」
「....ロア、それでも私は心配なんだ。ロアを欺こうとしているんじゃないかって」
僕は改めて周りを見渡す。
前までは僕の事を明らかに嫌っている視線を向けていたが、今日は打って変わって痛々しい視線を向ける人が多いような気がする。
まあ、一部の貴族、僕をかなり前から嫌っていたものからは依然として忌み嫌った視線を向けられているが。
「お、おはよう、ロア」
「おはよう、ミア」
声を掛けられたので、振り返ってみるとミアが此方を窺うように挨拶をしてきたので、出来るだけ普通に返す。
あの謝罪の日から、お見舞いなど会う日はあったもののやはり彼女たちの罪悪感はいつまでたっても消えないようで、いつも窺うように僕へと迷惑をかけないようにと思っていることがひしひしと伝わってくる。
「あ、あの....ね?その....私も一緒も教室に行っていいかな?」
「あー......」
ミアの事を信用していないわけではないし、周りの反応を見るに大丈夫だとは思うけれど以前から僕の事を嫌っていた貴族たちに裏切りだ、なんだとミアが責められてしまわないかが心配で答えに詰まる。
だが、その僕の反応が間違っていたらしい。
「ご、ごめんね。わ、私なんかと一緒に登校なんてしたくなかったよね。ごめんなさい。こんな簡単なことにも気づかないなんて。厚かましいよね、こんな幼馴染いない方がいいよね?」
ミアはぼろぼろと涙を流し、顔をぐしゃぐしゃに歪めてカバンからごそごそと何かを取り出そうとしたところで慌てて止めに入る。
「違うんだ、ミア。ミアと登校したくないなんて思っていないよ。ただ、ミアの事が心配だっただけだから」
「....そう、なの?」
ミアの誤解を解くため、僕が考えていたことを偽りなく話すことによって何とか誤解は解けたみたいだ。
「ご、ごめんね。早とちりしちゃって。それと心配してくれてありがとう」
「わかってくれたなら良かった」
「でもね、ロア」
「どうしたの?」
涙を拭き、こちらをミアはじっと見つめる。
「大丈夫だよ、もしあんな奴らが私に何かしようとしても消すだけ、だから。それにもしロアに何かしようとしたら....アハハ」
ミアはにっこりと笑い虚ろな何を考えているのかわからないような瞳でボソッとそう呟いた。
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