第8話 奇襲×身代わり

 ユカエルside


 ユカエルの提案にマリエルは考えるしぐさをする。


「………ユカエルちゃん一人の命で全員助けるのはむしが良すぎでしょ」


「それじゃあ、俺と光琳を◯しなさい」


「ほ?」


 マリエルは予想外の解答に戸惑った表情を見せる。


「だから、イルシアと詩野を解放して」


「………ユカエルちゃん一人だけだと寂しいだろうから、一緒に◯して欲しいのかな?」


「ああ、光琳と一緒に◯して欲しい。だから頼む」


 ユカエルは土下座をする。


「………良いでしょ」


「あ、ありがとう」


「それじゃあ、どちらから◯されたいのかな?」


「………出来れば俺も赤い石に入って一思いに一緒に◯して欲しい」


 覚悟を決めた目でユカエルは話をする。


「良いでしょう」


「後、先にイルシアと詩野を解放して欲しい」


(解放して、抵抗される心配はないだろうからな)


 マリエルは考える。


「………」


 ユカエルは無言になりマリエルの解答を待つ。


「良いでしょう(詩野ちゃんは眠っていて戦えないしイルシアちゃんは戦闘は出来ないから大丈夫だね)」


 赤い石をユカエルのところにおくと、赤い石は音もなく崩れ去り詩野とイルシアが出てくる。



イルシアside

「はあはあ」


 呼吸を整えてイルシアは回りを見渡すと詩野が隣で倒れている。


「ミーちゃん、しっかりして」


イルシアはすぐ呼吸と脈を確認する。


「良し大丈夫そうだね」


 詩野は熟睡している。


(どうなっているんだ)


 再度イルシアは回りを確認するとユカエルが自らの意思で赤い石に入るように吸い込まれて行く。


「ユカちゃん!!」


イルシアは立ち上がりユカエルの吸い込まれた赤い石にめがけて走りだす。


「はいはい、ストップだよイルシアちゃん」


「え?」


 目の前には変異したオーガのパンチが飛んで来て身体にあたりぶっ飛ぶ。


「げほ、がはあ」


 イルシアは血を吐き大きな痛みを受けて立ち上がれずにいる。


「おとなしく、待ってなさいよイルシアちゃん」


「っぐ、マリエル!!」


 倒れながらマリエルを睨み付ける。


「はあ、イルシアの絶望する姿を早く見たいな」


 マリエルは惚けた表情をして、イルシアを見る。


「何を言ってるんだ?」


「今からイルシアちゃんに絶望を味あわせてあげるからね」


「ま、まさか」


 イルシアの顔色が変わる。


「っぐ、やめろ!」


「いやだよ」


 黒い笑みを浮かべながらイルシアに答える。


「さてさて、これから光琳ちゃんとユカエルちゃんを◯すね」


「や、や」


 這いつくばって近づこうとするが一体の変異したオーガが立ちふさがる。


「どけ!」


 這いつくばりながら変異したオーガを避けようとするもうまくイルシアは動けずにいる。


「それじゃあ3カウントで行くね」


 マリエルは笑顔でイルシアに言う。


「お願いやめて!」


「ええ、嫌だ。3!」


「何でもするから、こうちゃん、ユカちゃんだけは」


「イルシアちゃんが泣いて絶望する姿が見たいから嫌だ。2!」


「ぢぐしょう」


嗚咽混じりに涙を流す。


「まだ、泣くのは早いよ。1!」


「やめてえええええええ!!」


「0」


 変異したオーガはマリエルの合図でジャンプして2つの赤い石を潰そうとする。


「「が?」」

「い?」


 変異したオーガ二体と魔術師に突然、矢が二本ずつヒットして倒れこみ、二つの赤い石にも二本がヒットして石が割れ、ユカエル、光琳が出て来る。


(いったい何?)


 マリエルは何が起こったのか処理出来ずにいる。


 


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