第7話 ユカエル×選択

 ユカエルside


 小屋にユカエルは待機していると、空間が歪み、変異したオーガ二体と魔術師が現れる。


 (がんばらないと)


 ユカエルは足を震えながら外に出る。


 「ガ?」


 オーガはユカエルが出てくるのに気付くが動く様子はなく、魔術師が四つの赤い宝石みたいなのをそれぞれオーガの足元におく。


(何あの宝石のものは?)


 足元においた宝石をユカエルは気にしているとオーガが一つの赤い宝石を踏みつけて行くと徐々にひびが割れていく


「ぐあああああ、助けて助けて」


 ひびわれた宝石のような物から人の叫びが聞こえる。


「や!!」


 ユカエルは宝石のような物を踏んでいるオーガに叫ぼうとするもバリンとわれグシャと何かが潰れた音が聞こえ、人だったものから血が流れ込み砂に染み込む。


「う、う、(ひ、酷い)」


「ガ?」


オーガが動かずにいる。


(何で動かないの?)


「やあやあ、ユカエルちゃん」


 オーガのすぐ近くにマリエルが現れる


「マリエル!?」


ユカエルが急に出て来て驚く。


「わたくしの用意したパーティーはいかがだったかな?」


 マリエルは笑みを浮かべユカエルを見る。


「おどれ、ふざけるな!!」


 怒り口調でマリエルに話をする。


「別にわたくしは、ふざけているつもりはないよ」


「この状況で何を言ってるんだ」


「まあまあ、そう怒らず聞いて頂戴」


「ふざけるのも大概に」


「静かにしないと光琳ちゃん、イルシアちゃん、詩野ちゃん、三人の命がないけど大丈夫かな?」


「………う」


 ユカエルは怒りを抑え込む。


「うん、ユカエルちゃん素直でよろしい」


「三人はどこにいるの?」


「既にユカエルちゃんの目の前にいるよ」


「………目の前」


 ユカエルは無意識に目線を足元においてある3つの宝石のような物に向ける。


(ま、まさか)


「ユカエルちゃんの考えてる通り、光琳ちゃん、イルシアちゃん、詩野ちゃん、三人は赤い石の中にいるよ」


(っく)


 赤い石に向けて走り出そうとする。


「はいはい、ユカエルちゃん動かないで」


 手をたたき、ユカエルに声を掛ける。


「っく」


 ユカエルは何とか立ち止まる。


「動いたら三人の命はないよ」


 オーガが赤い石を踏みつけたそうにしている。


「………おどれ!三人を解放しろ!!マリエル」


 ユカエルの口調が変わる


「ユカエルちゃん、残念ながらそれは出来ませんな」


「おどれは何をしたいんだ?」


「わたくしは単純であなた方が苦しんでいる姿を見たいだけです」


 マリエルはどす黒い笑みを浮かべる。


「おどれ!本当に性格悪いな!」


「ありがとうございます。照れますね」


「褒めてないからな!」


「さてさて、茶番は置いておいて、ユカエルちゃんには選択肢をあげる」


「選択肢?」


「今後の厄災級モンスターのことを考えて、特別に一人だけは生かしてあげる」


「一人?」


「そう一人だけ」


「………え」


「ただし、誰かを指定して選べないからね」


「………う」


「後は、特別サービスで一つずつオーガに踏みつけて潰す人をユカエルちゃんに選ばせてあげる」


「や、やめてよ。俺は選びたくない」


「別に選ばないなら3つ同時に赤い石を潰すのもありだけど、どうする?」


「っく」


 ユカエルは苦悶な表情を見せ涙を流し始める。


「お、お願い、マリエルさん、こんなことはやめて」


 ユカエルは土下座をする。


「嫌だね、わたくしの楽しみは潰されたくないですからね」


「お願いします」


「ユカエルちゃん、お願いされてばかりだと潰したくなりますな」


 オーガは赤い石にめがけて足を出そうとする。


「やめて!!」


 ユカエルは大きく叫ぶ


「じゃあ早く決めてよ」


「………」


 ユカエルは無言で考え始める。


「それじゃあ、5数えるうちに決めてね」


(え?)


「5」


(ダメ、決めれない)


「4」


(お願い、誰か)


「3」


()


「2」


(俺はいつも守られてばかりだ)


「1 」


(だから、決断しないと)


「ぜ」


「待って決めたからカウントやめて」


「………それで、どの赤い石が良いのかな?」


「お、俺の命をあげるから、代わりに全員を助けて欲しい」


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