第14話 ※美菜菊×スキル開花の試練前

 ミカエラside


 美菜菊の答えにミカエラは驚く。


「………理由を教えて貰えるかしら」


「僕はALS(筋萎縮性側索硬化症)に異世界化なる前に

なりました」


「………」

 

 ミカエラは真剣に聞き始める。


「最初お医者さんから聞いた時は、良くわからず、受け入れられず、自◯も考えました」


「…………うん」


「でも、生きることを諦めたくないと思って頑張ろうと思ったところで、社会的弱者を切り捨てる政策によって僕は見捨てられました」


「……うん」


「それでも僕は諦めず社会的弱者が集まる難民の住む町があって、そこで何とか3年近くはどうにかなりました」


「…うん」


「ただ、謎の声が変異モンスターを放った場所が運が悪く町に出現して破壊され尽くしてしまいましたね」


「うん」


「僕はその時には、歩くのがほぼ困難になっていて腕も思うように動かせなくなってしまい電動車椅子生活でした」


「………みなやん、良く生き残れたね」


「そこにいた人たちのおかげです」


「それで、町が破壊された後は、どうしたの?」


「その後は、どこかの町に滞在する場所を探しましたがどこも、社会的弱者を受け入れてくれず追い返されてしまいました」


「なるほどね」


「そこでふと、3カ月前に介護士(訪問介護)を募集と書いてるのを思いだして、何とかして募集した人に会えれば受け入れて貰えるんじゃないかと思って、必死に調べました」


「うん」


「それで他の人の協力もあって、どこにいるのかもわかることが出来ました」


「それで、電動車椅子でここまで頑張って来たんだね」


「そうなりますね」


「けど、ゴミクズダンジョンまで良く来れたね。道もしっかりと舗装されてないのにね」


「そこは、難民の方にゴミクズダンジョン近くまで押して貰いました」


「なるほどね」


「けど、難民の方々が離れた後に電動車椅子を動かそうとしたら身体が動けなくなりそのまま落ちてしまいました」


「うん」


「そこからは光琳さんに助けて貰えて今に至ります」


「なるほどね」


「………僕のわがままですが、どうにかして今のまま生きたいんです」


「そうなのね」


「だ、だから、お願いします。僕を介護士(訪問介護)にして下さい」


「………だ、そうよ。こうやん」


 光琳に話を振り始める。


「現状としては、受け入れて私の家でゆっくりと過ごして介護するしかダメかな」


「お願いします。そこを何とか」


「………申し訳ない。私も、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の人に介護士(訪問介護)はさせられないよ」


「そうですか」


 美菜菊は落ち込み始める。


「………こうやん、みなやん、解決する方法はあるけど一応聞く?」


「あるのか?」


 美菜菊はミカエラの話に食いつく。


「………あるにはあるけどね」


 歯切れが悪そうに話をミカエラはする。


「ミカエラ、そ、それは」


 光琳が話に入り、ミカエラがしようとすることに気付き止めようとする。


「お願い教えて」


 真剣な目でミカエラにお願いをする。


「………それはね、あたしのスキル開花の試練を受けることだね」


「スキル開花の試練?」


「そうだよ」


「何をするの」


「それは、残念ながら教えられないね。ひなやん」


「………そっか」


「スキル開花の試練をクリアしたら状況によりけりあなたの身体の状態も良くなりスキルも開花する」


「僕にもスキルが開花するの!是非お願いします」


「………みなやん、話しには続きがあるから最後まで聞いてね」


「はい」


「ひなやんの場合、外でスキル開花しかかっている状態で、しかも枯れかかっている状態なのよ」


「はい」


「………もしスキル開花の試練をクリア出来なかったら、ひなやんは開花しかかっているスキルが枯れてしまい、さらにあなたは◯んでしまうのよ」


「………」


 美菜菊は無言になる。


「さらに厄介なのは、スキル開花の試練で亡くなった場合、異世界人になるわけではなくダンジョンのモンスターになってしまうのよ」


「え!?」


 美菜菊は驚く


「だから、ひなやんのようなスキルが開花しかかってる人にはお勧めしたくはない方法ではあるかな」


「ミカエラ、私の時の説明と違うんだが」


 光琳が話に入る。


「こうやんの場合は、スキル開花してない状態だからね」


「確か、私に説明した時は」


「失敗したら精神的に大きなダメージを受ける感じだね」


「そんな違いがあるなら、美菜菊、絶対にや」


 美菜菊に声を掛けようとする。


「僕、スキル開花の試練を受けます」


「美菜菊さん、ダメだ」


「イヤです」


「私が介護して何とかするから」


「………僕は足を引っ張るのもイヤだし、これ以上迷惑をかけたくないんです」


「っく」


 納得行かない表情を見せ、ミカエラに近付いて行く。


「………ミカエラ、すまないが酷なことさせてしまうが頼む」


涙目になりながら光琳はミカエラにお願いをする。


「こうやんは優しすぎるからね」


「………感情が芽生えた状態のミカエラにとっても、かなり重荷になるからな」


「こうやん、そこまで考えなくて良いんだよ」


「………それでも、考えてしまうね。リスクの低い方法をね」


「少なくとも前に進む選択肢ではあるからね」


「リスクはかなりヤバイけどやる価値はありますからね」


「こうやん、どんな結果になるかは、わからないけどやってみるしかないね」


「そうだな」


「さてさて、みなやん、案内するから来てね」


「………はい、あ」


「うん、どうした?ひなやん」


「すいません僕の車椅子がないと移動が」


「ああ、大丈夫だよ」


 光琳の左手から美菜菊の回収した電動車椅子を出す。


「あ、ありがとうございます」


「いえいえ、どういたしまして」


「それじゃあ、行って来るね。光琳」


 美菜菊は電動車椅子に乗り何とか操作して移動をする。そして、ミカエラに部屋まで案内して貰う。


「ひなやん、覚悟は良いかな」


「………はい」


「それじゃあ部屋に入って」


「………」


 美菜菊は無言で部屋に入った。


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