第12話 男介護士×倒れた人
倒れた人の前まで行く。
「おい!大丈夫か!」
倒れた人に声を掛けるが反応がなかった。
(車椅子でどうやって来たんだ?というか良くモンスターに襲われずにここまでたどり着けましたな)
倒れている人を確認する。
(女性の方?)
顔色がぐったりとしている。
(かなりヤバイかもな)
車椅子を左手に入れ。女性をダンジョンに運ぶ。
(距離はあるがやむを得ない)
1階のダンジョン奥地に向かう。
数分後、教会にたどり着く。
「おーい、ミカエラ」
「あら、こうやん、今日掃除の日だったかな?」
「ごめん、ダンジョン外に倒れている人がいたから、ミカエラ見てくれないかな?」
「おいおい、こうやん、あたしは医者じゃないよ」
「でも、身体の状態は調べられるでしょう」
「ああ、そうだな」
ミカエラは身体に触れることで、状態を確認出来る能力を持っている。この能力は現代の状態異常を見ることも出来る。
「そう言うわけでベッド借りるよ」
「はいはい」
女性をベッドに運び横にさせる。
「さあて、ミカエラよろしく」
「はいはい」
ミカエラはベッドに横になった女性を触る。
「………」
ミカエラは真剣になって、身体を触れ続けている。
「どうかな?」
「………こうやん、残念だけど彼女はもう長くないよ」
「どういうこと??」
「彼女、ALS(筋萎縮性側索硬化症)だよ」
「え?ALS」
「そう」
「なんで、ALSの人が倒れていたんだ?」
「こうやん、あたしに聞いてもわかるわけないでしょ」
「………確かにそうだね」
「で、どうするのこうやん?」
「どうするって何が?」
「こうやん一人ではALSの人を介護しようにも機材や設備が足りなすぎでしょ」
「………確かにそうだね」
落ち込んだ表情をして悩み始める。
「こうやん、冷たいこと言うけど見捨てなさい」
「………」
光琳は無言になる。
「こうやん」
「………悪い。わがままだけど、目が覚めたら何故ゴミクズダンジョン外にいたかだけ聞きたいんだけど良いかな?」
「こうやん、聞いたら見捨てられなくなるでしょ」
「確かにそうなる可能性が高いですね」
「………ALS(筋萎縮性側索硬化症)は今の世界には理不尽過ぎるからね」
「そうだね」
「こうやん、彼女の話を聞くのは良いけど、状況によりけり、あたしが◯すからね」
「おい!」
光琳が大きい声を上げる。
「今の現状、すぐに彼女を◯して、異世界人にしたほうが幸せだと思うよ」
「幸せか状況は彼女に聞いてからにしましょう」
「こうやん、あたしはたなたの優しさと生真面目さは大好きだけど、融通聞かないのは直した方が良いよ」
「………わかっていても直せないからな」
「まあ、簡単には直せないよね」
「とまあ、私のわがままは聞いて貰いたいかな」
「了解、こうやん」
「ありがとう。ミカエラ」
「ただし、状況によりけり、彼女を◯すのでよろしくね」
「………わかった」
「こうやん、あたしは感情が芽生えてもね、重たい病気とかで苦しみ続けて生かし続ける意味があるのかが未だに理解出来ないね」
「そこは人それぞれだからな」
「まあ、今はそういうことにしておくね」
「それじゃあ目が覚めるまで待ちますかね」
「了解」
光琳は彼女が目が覚めるまで数時間待ち続ける。
「………」
光琳は無言で見ていると彼女は目を覚ます。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)に関して
手足・のど・舌の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだんやせて力がなくなっていく病気です。しかし、筋肉そのものの病気ではなく、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が主に障害をうけます。その結果、脳から「手足を動かせ」という命令が伝わらなくなることにより、力が弱くなり、筋肉がやせていきます。その一方で、体の感覚、視力や聴力、内臓機能などはすべて保たれます
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