3カ月前 過2話 詩野×異世界酔い

 詩野side


 「え!?」


 詩野が外に出た瞬間に視界が歪み目が回る感覚に襲われ、そのまま意識を失い倒れてしまう。


「詩野、大丈夫?」


「………何?この感覚?」


「ああ、今、詩野が感じている状況が異世界酔いですね」


「異世界酔い?」


「そうです。異世界酔いです」


「何なの異世界酔いって?」


「長時間ダンジョンにいて、その後、外に出るとおこるのが異世界酔いです」


「それでかい、何か2日酔い見たいな感覚みたいで気持ちが悪いね」


「最初は誰でも必ずそうなります」


「誰でも?」


「そうです、私もなりましたね」


「………そうかい、それで異世界酔いを体験させたくて外に自分を出したのかい?」


「まあ、そうなりますね」


「………光琳、自分に異世界酔いを体験させる意味があるのかい?」


「あります」


「何故に?」


「これから同じ手順をして行くからです」


「はあ?」


 詩野は思わず声を出してしまう。


「昨日は5階ですが、毎回、違う階層で安全圏にこもって24時間ライブ配信して音をミュートにして画面を暗くしてやるのを繰り返して外に出る手順を何回かしてもらいます」


「え?あんな2日酔い見たいな状態を毎回繰り返さないと行けないの?」


「そうです」


「………やります」


 詩野は気だるそうに答える。


「あ、後、階層ごとによって異世界酔いの重さも上がりますので覚悟しておいてください」


 詩野は光琳の話を聞くと顔色が悪くなる。


 こうして、しばらくは階層を変え同じ手順を何度も繰り返して行く。階層が下になるほど異世界酔いの反動が凄すぎて、痙攣おこしたり、失神したり、吐いたり、発狂しかけたりと精神的にもかなり負荷がかかる。


「………」


 詩野はダンジョンの光琳の家で顔色を悪くしてベッドでぐったりしていた。


「詩野、これ以上しんどかったら諦めても良いからな」


「………嫌だね、自分は強くなりたいんだからね。ここで諦めないからね」


「私からは、がんばってしか言えませんからね」


「ああ、がんばるさ」


詩野はフラフラになりながら何とか歩き始める。


「………詩野、着いてきて(次の段階に行きますかね)」


「ああ」


 詩野はふらつきながら歩き始め、光琳に着いて行くと1階のダンジョン内の奥へ奥へと1本道をひたすら歩き始めると広い場所に出て、そこに古びた教会らしきものが立っている。


「光琳ここはなんなの?」


「ここは、見ての通り教会です」


「な、何でダンジョンに教会があるのよ?」


 しんどそうに詩野は突っ込む。


「何故あるかはわかりません」


「そうかい」


「さて、それじゃあ教会に入りますか」


「ああ、光琳」


「うん?どうしました詩野」


「………気になったんだが、1階にこんな目立つ建物があるのに何で掲示板や、公式には情報が出てないんだ?」


「………それは、入ってからお話します」


「わかったよ」


 こうして、詩野、光琳は教会に入る。











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