第7話 男介護士×仕事(訪問介護)に戻る。

イルシアside


「こうちゃん、相変わらずの介護馬鹿だね」


 イルシアはあきれた表情をする。


「しょうがないだろう仕事(訪問介護)はしたいからな」


「こうちゃんぐらいでしょ。現代世界で介護出来ないのが悔しくてめちゃくちゃ泣いて落ち込んだ瞬間に(そうだ異世界人の高齢者に訪問介護をすればいいんだ)と普通考えないことを言い始めたからね」


「あの時は、イルシアも全力で止めたよな」


「そりゃあね。止めるに決まってるでしょ」


「まあ、世界が滅ばされても、おかしくない状況で訪問介護するのは、馬鹿げてるかも知れませんね」


「全くそうなんだが」


「うん?」


「こうちゃんが訪問介護したことをしたり、わしら現代人が干渉することによって異世界人も感情が出始めたことには驚いたのう」


「私もそこは驚きましたね」


「こうちゃん、異世界人が感情をもって、あることを知ってるのはどれぐらいの人が知ってるのかな?」


「わかりませんね。掲示板には一切、異世界人の話の書き込みはあんまりないですし、公式も発表や情報を出さないのか知らないのか、どちらかわからない状況ですね」


「………確かにそうだね。こうちゃん」


「まあ、異世界人が感情が芽生えて、あることを政府、公式側はそれがどうした?という感じで思っているでしょうからね」


「無意味かも知れませんね」


「それでもやりたいんだよね。こうちゃん」


「最初は異世界人は人形のように頷くかマニュアル染みた会話しか出来なかった高齢者でしたが、私たち一生懸命、仕事(訪問介護)して行くうちに、無反応な方が感情が芽生えて話が出来て行く姿が見れて楽しいし努力しがいがあるんですよね」


「それは、こうちゃんにしか出来ないことだね」


「そうなの」


「そうだよ。だから、わしらはこうちゃんが訪問介護を一生懸命がんばる姿を見て助けたくて、サポートしたくて着いて来てるからな」


「………ありがとうイルシア」


「ユカちゃんにもあったら、お礼を言うんだぞ」


「………ああ」


 ユカエルの名前が出ると声の高さが変わる。


「ああ、そうだイルシア」


「うん?」


「詩野に関して引き継ぎがあるんだけど」


「何だ?」


「………一言で言うと燃費が悪いことかな」


「燃費が悪い?どういうこと?」


 イルシアが詩野の燃費の悪いことに今いちピンと来ていない。


「私だったら左に入っている素材をコストにして、右手で生成できますが、詩野は素材をコストにしようにも私と違ってアイテムを収納出来るスキルを得ることが出来なかったんですよ」


「え?それじゃあ詩野は何をコストにしてるんだ?」


「詩野の場合は体内のカロリーです」


「カロリー?」


「そうです。カロリーです」


「具体的にどれくらい消費するの?」


「現状、全力で戦った場合は約5分ぐらい2000kcal+スキル使った場合もカロリー消費されます」


「1日分の摂取カロリー丸々もってかれるのかい!」


「そうなりますね」


「………確かに燃費悪いね」


「燃費悪いですが、短期決戦での戦闘でしたら私が絶対勝てないぐらい強いです」


「まあ、詩野さんが強いことは間近で見てわかったけどね」


「そうですね。後ですが、万が一ガス欠になった場合は小瓶の錠剤をすぐ飲ませて上げて下さい」


「その錠剤は何なんだ?」


「一言で言えばカロリーをとれる錠剤です」


「どれくらい取れるの?」


「1錠で2000kcalとれます」


「………あ??」


 イルシアは思わず声を出す。


「こうちゃん、物理的にあの小さな錠剤でそんなカロリー入るのか?」


「ええ、入るように生成して作りましたね」


「いったい何の成分入れてるんだ?」


 好奇心でイルシアは聞く。


「あらゆるモンスターの血液を濃縮して作り上げた奴なので具体的に成分さわかりません。ただ」


「うん?」


「めちゃくちゃ不味すぎて、飲んだら失神するレベルでやばい錠剤です(私も飲んで失神してます)」


「おい、こうちゃん、何で詩野さんは平気で飲んでいるんだ?」


「詩野も何度も失神して、身体を慣らしたので大丈夫みたいです」


「こうちゃん、それダメな奴だし、むしろ、何でそんなやばい物を作ったんだ?」


「詩野から相談されて、(かさばらないものでカロリーをすぐ補給出来る物を作って欲しい)と頼まれたのがきっかけで作ったのがあのモンスター錠剤ですね」


「もうちょい味とかどうにか出来なかったのか?」


「………味に関しては考えて作るつもりが、詩野から(味は気にしないで良いからカロリーを多く取れる錠剤で良い)と言われたので作りましたな」


「そうかい、それでガス欠になったらどうなるんだい?」


「倒れて眠ってしまいます」


「眠ったら起こせないのかい?」


「錠剤飲めば起こせますが、それ以外だと起きるまで待つしかないですね」


「なるほどそうならないように気をつけないと行けないが仮に錠剤がなくなったらどうすれば良い?」


「そうならないようにする為に、イルシアのスキルで作って欲しいです」


「………わかったよ、わしのスキルで錠剤を作れば良いんだね」


「お願いします」


「それじゃあ、詩野のことはしっかりめんどう見る前に聞きたいことあるんだが良いかな?」


「何?」


「詩野とこうちゃんの関係について聞きたいんだが」

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